Coltデータセンターサービス(Colt DCS)は8月31日、「けいはんな学術研究都市」(関西文化学術研究都市)において国内4カ所目となるハイパースケールデータセンターの建設を開始したと発表した。面積4万2000平方メートル、電力量45MWという規模で、2023年初旬にサービスの提供を開始する予定。
建設の主体となるのはフィデリティ・インベストメンツと三井物産の新合弁企業で、土地や建物はこの合弁会社が所有。Colt DCSは開発パートナーとしてサービスを提供し、データセンターの設計や建設、完成後の運用やマーケティング、顧客への販売などを手がける形となる。
フィデリティと三井物産の合弁会社が国内(将来はアジア圏への展開も見込む)のデータセンター事業を手がけ、Colt DCSは開発パートナーとして主にデータセンターの運用を担当する
概要を説明したColt DCS バイスプレジデント、セールス&ソリューションのQuy Nguyen氏は、「業界において最も高い信頼を持つお客さま第一のデータセンターオペレーターとなる」と同社のビジョンを紹介すると同時に、「マネージドサービスは提供していない」「キャリアニュートラル」「西ヨーロッパおよびアジア(特に日本)にフォーカス」といった事業戦略を説明した。
Coltデータセンターサービス バイスプレジデント、セールス&ソリューションのQuy Nguyen氏
アジア圏では現在、インド(ムンバイ近郊)で大規模なデータセンターを建設中だが、現状では日本のデータセンター数が突出して多い状況だ。運用面にも自信を持っており、同氏は「これまでアジア圏ではサービスにインパクトを与えるようなインシデントが発生したことは1度もない」と明かした。また、今後同社ではグローバルでデータセンターの規模を大幅に拡張する計画だという。
同社は現在、電力量ベースで計110MWを構築済となっているが、けいはんなを含む建設中のデータセンターが110MW分あり、規模が倍増する。さらに既存サイトでの追加拡張分や既に契約済みの新規開発計画を合わせた「現時点で建設済、建築中、および開発用の土地が契約済」の分を合計すると、「今後5~7年で現在の約6倍の610MWに達する計画」であり、さらに940MWまで拡張することも計画しているという。
同社の今後のデータセンター規模の拡張計画(グローバル)。現在総計で110MWのデータセンターが、5~7年後には610MWに拡張される計画でさらに将来的には940MWまで想定されている
日本国内では今回の京阪奈データセンターのほか、印西データセンターキャンパスに新たに「印西4」を開発中(2024年サービス開始予定)。さらに東京都北部にも新規データセンターの建設予定(現在は土地取得の最終ステージで、2025年初旬頃のサービス開始を見込む)があるといい、これらを合計すると日本国内でも100MW以上の拡張が計画されている。
Colt DCS バイスプレジデント、APAC(アジア太平洋地域)代表のPadraig MacColgain氏は1989年に来日して以来32年にわたって日本に在住する日本通で、日本をベースにアジア圏のビジネスを統括する。同氏は日本における事業に関して、「国土の70%が山地なので適切な土地を見つけるのが困難」「ハイパースケールデータセンターは新しい領域の事業なので、人材確保にも苦労がある」といった課題を指摘する一方、これまで約3年ごとに新規データセンターを建設するペースだったが、現在は3つのデータセンター(京阪奈、印西、東京)を同時に構築する予定となっており、フィデリティ/三井物産の合弁会社とのパートナーシップを通じて国内事業を拡大していくとした。
フィデリティ/三井物産/Colt DCSの枠組みで開発が進む国内のデータセンター。2025年にサービス開始を見込む東京5は最終段階ではIT電力70MWという大規模な施設となる予定
同社の日本事業についての課題感とコミットメント