セキュリティ企業のソフォスは、企業・組織のサイバーセキュリティの現状を調査したレポート「2021年のITセキュリティチームの変化と今後の展望」を発表した。それによると、85%がコロナ禍で2020年にサイバー攻撃が増加したと回答し、59%はセキュリティチームの士気が向上したと答えた。
調査は、日本を含む30カ国で、従業員100~5000人の組織に所属するIT意思決定者3400人を対象に実施された。コロナ禍の変化として、87%がセキュリティ業務の増大を挙げていることも分かった。
アジア太平洋地域と日本については、62%が全体的なITワークロードが増加したと答えており、セキュリティのワークロードについては66%が増加したとしている。60%は自社を標的とするサイバー攻撃が増えたと報告し、65%は攻撃が高度で自らのチームの能力では対応できないとした。
そうした状況下で、72%はサイバーセキュリティのスキルと知識を開発する能力を向上させたと答えており、小売(77%)や教育(75%)ではその傾向が強かった。特にランサムウェア攻撃の経験した組織の60%が、士気が向上したと回答し、未経験だった組織の47%よりも高かった。新型コロナウイルス感染症対策でのロックダウンなどにより、チームでの対応行動に制約がつきまとう中で、ソフォスは「同じ目的と価値観を共有し、一丸となって逆境に立ち向かうことがチームの結束を高め、士気を向上させることが示唆された」と分析している。
また、63%は2023年までにチームの規模が拡大するだろうとし、86%は人工知能(AI)技術などを活用したセキュリティ業務の効率化に期待感を示した。
調査結果について主任リサーチサイエンティストのChester Wisniewski氏は、コロナ禍への対応で多くの業界のIT部門がオンライン化などを進めると同時にサイバー攻撃の増加にも直面し、「過大なストレスを抱えながらも調査からは、より高いスキルを習得できただけではなく、チームの士気が向上し、今後も野心的な取り組みを受け入れる準備ができていることが分かった」とコメントしている。