IDアクセス管理を提供するPing Identityの調査によると、体験のオンライン化が進む中、消費者は、煩わしさを我慢しなくなっており、利便性とプライバシーのバランスが取れていないと感じる場合、ブランドから離れるようになっているという。
今回の調査は、米国、英国、ドイツ、フランス、オーストラリアの3400人以上の消費者を対象に実施され、登録やログインに関連した体験、オンラインでのプライバシーに対する考え方、個人情報の共有に対する意欲などについて質問している。
77%がオンラインアカウントの作成を断念や中止したことがあり、その理由として、個人情報の提供を過度に求められた(40%)、情報の入力に多くの時間が必要(33%)、セキュリティステップが多すぎた(29%)などが挙げられている。
56%は、ログイン時に感じる煩わしさの大きさを理由にオンラインサービスの利用を止めたことがあり、63%は、本人認証がより簡単な競合他社のオンラインサービスに乗り換える可能性があるとしている。
44%が脆弱なパスワードの使用を認めており、古いパスワードを少し変えて利用したり(29%)、別アカウントのパスワードを再利用したり(15%)している。その一方で、58%は、個人情報をスマートフォンに安全に保存し、電子的に共有可能にするデジタルID機能という概念を好意的に捉えている。46%は、パスワードの代替手段を提供するサービスやサイトを利用したいと考えている。
85%は、個人情報をオンラインサービスがどのように共有しているかを知ることに関心があるが、72%はそのような情報を知るのは難しいと述べている。
60%は、プライバシー上の懸念からアカウントを削除したことがあり、46%がそのような経験が複数回あると述べている。72%はプライバシーの管理を目的にプロフィールの設定を手動で調整したことがあり、この割合は1997年以降生まれのZ世代では89%と高くなっている。
Ping Identityによると、今回の調査結果は、ブランドにとって、消費者が個人のプライバシーを犠牲にすることなく、自社のデジタルチャネルを迅速かつ容易に利用できるようにすることが重要であることを強調しているという。
「かつてないほど多くの選択肢がある中、企業は現在、現代の消費者の期待に応えるため、セキュリティ、プライバシー、ユーザー体験に関する戦略を統合する必要がある」とPing Identity社の最高顧客情報責任者(CCIO)であるRichard Bird氏。「個人は、より良い体験を別の場所で見つけることに躊躇しない。そのため、顧客体験を優先する企業はロイヤリティーの長期的な獲得が可能となるだろう」と述べる。