海外コメンタリー

オープンソースライセンスの真の理解に向け活動を強化するOpen Source Initiative

Steven J. Vaughan-Nichols (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2022-10-07 06:30

 コンピューターの黎明期、ソフトウェアは全て「自由に使用」でき、ソースコードも「公開」されていた。しかし、ソフトウェアの商用化が進むにつれ、ほぼ全てのソフトウェアがプロプライエタリーなものに変わっていった。Richard M. Stallman氏(RMSとしても知られる)はこの流れに対抗すべく1983年、James Gosling氏が実装したテキストエディターの「Gosling Emacs」を基にした「GNU Emacs」を開発し、自由ソフトウェア(編集部注:本記事ではStallman氏の意向に従いFree softwareを「自由ソフトウェア」と訳出している)向けのライセンス形態である「GNU Public License」(GPL)の下でリリースした。

「OPEN SOURCE」の文字
提供:Wright Studio -- Shutterstock

 自由ソフトウェアの興隆によって、ソフトウェアの使用方法が土台から大きく変わった一方で、あらゆる人々がStallman氏とフリーソフトウェア財団(FSF)によるソフトウェアのライセンス形態に満足したわけではなかった。そんな中Christine Peterson氏は、Jon "Maddog" Hall氏やLarry Augustin氏、Eric S. Raymond氏、Bruce Perens氏をはじめとする、自由ソフトウェア界の著名人との会合を持ち、その結果1998年に「オープンソース」という言葉が生み出された。

 「自由ソフトウェア」と「オープンソース」の違いは、前者がコードの共有倫理に関するものであるのに対して、後者はコードの共有における実益に焦点を当てているものだという点にある。その点は今も昔も変わっていない。

 言い換えれば、OSIの初期のリーダーであり、現在はOS-Climateのプロジェクトリードを務めているMichael Tiemann氏が述べているように、オープンソースは「『自由ソフトウェア』が説く、善悪を問題にする対立的な姿勢を捨て去る」とともに、「実利的でビジネスケースに基づいた」開かれたソースコードというアプローチの推進を目指しているということだ。

 自由ソフトウェア対オープンソースに関するこうした議論は終わる気配がないものの、OSIは今日、より大きな物事に取り組もうとしている。

 ここ数年、オープンソースライセンスは「Business Source License」(BSL)や「Common Clause」「Server Side Public License」(SSPL)といった準オープンソースライセンスによって生み出される課題に直面している。自由ソフトウェア陣営からオープンソース陣営に投げかけられる議論、あるいはその逆方向に投げかけられる議論の内容は明確だ。しかし、オープンソースライセンス「風の/的な/とは少し異なる」ライセンスと、本当のオープンソースライセンスの違いを理解してもらうのは、そう簡単な話ではない。

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