英国で操業するIT企業のリーダーらを対象としたある調査によると、ソフトウェア開発やクラウド、ITセキュリティのスキルを有した従業員は、今後数年間にわたる景気後退によって引き起こされる、レイオフをはじめとするワークフォースに対するプレッシャーの影響から逃れられる可能性が高いという。
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リクルートメントの専門企業であるRobert Halfの「2023 Salary Guide」によると、多くの企業が経済の減速による閉塞(へいそく)感に備えている中、ビジネスリーダーらは向こう12カ月間で自社のIT投資の拡大と加速、保護に注力し続けるという。
実際のところ、最高情報責任者(CIO)たちと最高技術責任者(CTO)たちの79%は、1年後の自社の成長見通しに関して「とても自信がある」と考えており、2023年の戦略的優先順位として効率性と生産性(31%)、コンピューティングイニシアティブ(26%)、デジタル変革(24%)、ブロックチェーンとIoTといったプロジェクトを上位に挙げている。
Robert Halfは、テクノロジー関連のリーダーたちが技術面での投資に注力しているため、技術系やIT系のワーカーらに対する需要は引き続き高いものになるとともに、これらリーダーたちは「こうした職務が景気後退の懸念に影響されないだろうと認識している」としている。
ソフトウェア開発やクラウドの専門家は「かつてないほどの規模」で需要が高まり、サイバーセキュリティのプロフェッショナルは今後の1年で企業が喉から手が出るほど求めたいと考える人材になるだろう。
CIOとCTOの3分の1超(36%)は、ITセキュリティと情報の安全対策に関するイニシアティブの展開が「2023年以降に戦略的優先順位として上位を占めるようになる」と回答している。
こうした需要増を満足させるため、雇用主の30%は職務範囲が拡大した自社のITチームを強化するべく積極的な採用活動に取り組んでいる。しかしながら、回答者の半数弱はサイバーセキュリティ関連のスキルが最も手配しづらいと回答しており、スキルギャップを埋めようとする企業が困難に直面している状況が浮き彫りにされている。
Robert Halfのテクノロジー人材の仲介担当責任者であるCraig Freedberg氏は、企業やコンシューマー、インフラへのサイバー攻撃の頻度と巧妙さが高まる中、サイバーセキュリティ関連のプロフェッショナルに対する需要への対応がより喫緊の課題になってきていると述べている。
また同氏は、従来の採用活動で必要な人材を確保できない企業に対して、要求を満足させるための取り組みの一環として、既存の従業員のスキルアップに向けた訓練の実施を検討すべきだと付け加えている。