今のIT人材市場では、主導権は雇われる側にある。技術者採用担当者は、ウェブアプリケーション開発に対する需要増に対応できる、経験豊かなフルスタックエンジニアを見つけるのに苦労している。
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開発者採用プラットフォームを提供するCodinGameと、オンライン技術評価プラットフォームのCoderPadは、4000人の技術者採用担当者を対象として調査を実施し、2022年に最も需要がある職種やスキル、プログラミング言語、フレームワークを明らかにした。
また、1万人以上の開発者にも調査を行い、技術者が今持っているスキルセットや将来のキャリアに対する希望が、雇用側のニーズと合致しているかどうかについても調べた。
調査の結果、2022年に採用担当者が求めているスキルのトップ3は、ウェブ開発、DevOps、人工知能(AI)と機械学習だったことが分かった。
2021年には、DevOpsがフルスタックエンジニアやバックエンドエンジニアを抜いて最も需要が高く、採用することが難しい職種となったが、今回のデータはそのトレンドが逆転したことを示している。
調査対象の採用担当者のうち3分の1以上(約36%)が、雇用市場の競争が激しく、経験豊富なフルスタックエンジニアを見つけるのに苦労していると回答していた一方、約35%はバックエンドエンジニアにも強い需要があると述べている。
また、ソフトウェアアーキテクト、データサイエンティストや機械学習のスペシャリストなどの専門性の高い職種も、必要なスキルセットを持った経験豊富な開発者が少ないため、採用担当者の悩みの種となっている。
採用担当者は、AIと機械学習のスキルに対する需要が特に大きくなっていることから、これらの人材の採用が難しい状況が短中期的に続くと予想している。
もっとも需要の高いプログラミング言語は、4年連続で「JavaScript」で、採用担当者の半数近く(約48%)がJavaScriptに詳しい開発者を探していた。また開発者の約3分の2(約64%)が、JavaScriptに習熟していると回答している。
2021年に引き続き、需要の大きい言語の2位と3位にはJavaとPythonがランクインした。レポートでは、Javaは規模の拡張性に優れていることから、成長の早い企業やスタートアップでよく使われていると指摘している。またJavaは、20億台のデバイスが存在する「Android」市場を支える言語でもある。
一方、Python人気の高まりも相変わらずの様子で、その主な理由は、この言語がデータ分析やアルゴリズム開発で利用されているためだ。高級言語であり、汎用性も信頼性も高いプログラミング言語であるPythonは、ウェブ開発でも使われている。
CodinGameの調査では、開発者の10人に6人(59%)がPythonを使えると回答しており、Javaに精通していると答えたのは半数強(55%)だった。