ソフトウェアのテストが専門の企業であるTIOBEが選ぶ「プログラミング言語オブザイヤー」を、機械学習の分野を得意とする言語である「Python」が2年連続で受賞した。
この賞は毎年、過去1年間でもっともレーティングを伸ばしたプログラミング言語に対して与えられている。TIOBEによれば、今回はもう少しで「C#」が初めてこの賞を受賞しそうな勢いだったが、12月にPythonがC#を抜いたという。Pythonの人気が高まっているのは、この言語が機械学習やデータサイエンスの分野に向いており、PyPI(Python Package Index)にこれらの分野向けのライブラリーが豊富に用意されているためだ。
TIOBEのランキングは、各言語を各種検索エンジンで検索した際の検索結果のシェアに基づいて決定されている。このランキングは、RedMonkやIEEEが作成しているランキングとともに、開発者がどの言語を学ぶべきかを示す1つの指標になっている。
Pythonがこの賞を受賞したことは、開発者にとってのMicrosoftの重要性を反映しているともいえるだろう。
Microsoftは、2020年にPythonの生みの親であるGuido van Rossum氏を雇用し、Pythonの効率改善に取り組んでいる。今のPythonは、高性能なハードウェアでは使い勝手が良いが、モバイルデバイスでは実行速度が遅いという特徴を持っている。またこの言語は、Azureなどのクラウドプラットフォームに新たなチャンスをもたらしている。
TIOBEの年間ランキングによれば、2番目に人気があった言語はC#だった。C#はMicrosoftのテクニカルフェローであるAnders Hejlsberg氏が設計した言語だ。
一方、エンタープライズアプリケーションでよく使われているJavaは、今も学ぶべき重要な言語ではあるものの、最近ではその人気をPythonに奪われている。
TIOBEの最高経営責任者(CEO)であるPaul Jensen氏は、「Javaが2001年に記録した26.49%のレーティングはこれまでの最高記録だが、Pythonは、多くの分野でデファクト標準のプログラミング言語になるためのあらゆる要素を備えている。Pythonの凱旋行進曲が止まる気配はない」と述べている。Jensen氏はまた、Pythonの地位を脅かす可能性のある言語は限られていると指摘し、「SwiftとGoに可能性があることを除けば、当面の間は、新しい言語がトップ5やトップ3に入ってくることはないだろう」と述べている。
プログラミング言語には流行り廃りがあり、言語の競争力を保つためのプロジェクトは必ずしも成功するとは限らない。
今回のランキングにはいくつかの変化が見られた。メモリー安全性の欠陥に対応できるシステムプログラミング言語である「Rust」は、マサチューセッツ工科大学(MIT)の「Julia」や、Googleが「Android」アプリの開発に使用することを推奨している「Kotlin」を抑えて26位に入った。
Rustは、Facebook、Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloudからの支持を得たこともあり、2021年に大きく躍進した。
また、「iOS」や「macOS」のアプリ開発に使われる言語であるAppleの「Swift」は2021年1月の13位から10位にランクアップし、Googleの「Go」も14位から13位へと1つ順位を上げた。Kotlinの順位は40位から29位に上昇した。一方、Googleの「Dart」は25位から37位へ、Juilaは23位から28位へと順位を落とし、Microsoftの「TypeScript」も42位から49位へとランクダウンした。
TIOBEの2022年1月のプログラミング言語ランキングトップ10は、上から順にPython、C、Java、C++、C#、Visual Basic、JavaScript、アセンブリ言語、SQL、Swiftだった。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。