米国のIT業界で就職しようとした場合、最も売りとなる言語は「Python」かもしれないが、開発者向け知識共有サイトのStack Overflowによると、最も好まれている言語は「Rust」だという。Rustは、Mozillaのテクノロジー先駆者らによって2010年頃に生み出されたオープンソースのプログラミング言語だ。
実際のところRustは、開発者を対象とするStack Overflowの年次調査において、最も好まれている言語という栄冠を数年勝ち取ってきている。とは言うものの、97%の回答者は実務で使用した経験がないと答えている。そのような言語がどのようにして、最も好まれているプログラミング言語となっているのだろうか?
Jake Goulding氏はStack Overflowのブログで、「ひと言で述べると、Rustはその他多くの言語に存在している弱点を解消し、否定的な面を極力抑えつつ着実な向上を実現させてくれる」と述べている。
Goulding氏は、Rustのコンサルタント企業Integer 32の共同創業者で、Rustが成功することに個人的に関心があるだろうが、この言語に引かれているのは同氏だけではない。
Microsoftは「Windows」コンポーネントに存在し得るメモリー関連の脆弱性に対処しようとRustを実験的に利用している。Microsoftは、過去10年ほどにわたって同社が公開してきたパッチのうち、およそ70%はメモリーの安全性に関するものだったと報告している。
Rustのコンセプトは、Microsoftが最近オープンソース化した「Project Verona」でも活用されている。MicrosoftはProject Veronaという旗印の下、同社が維持しているCやC#のレガシーなコードをセキュアにする上での武器となる、インフラのための安全なプログラミングを可能にする実験的言語の創出に向けてまい進している。
Mozilla ResearchはRustを「スピード、メモリーの安全性、並行性に焦点を当てたシステムプログラミング言語」だと説明している。
Rustは、CやC++などのシステムプログラミング言語に代わるもので、開発者がゲームエンジンやオペレーティングシステム、ファイルシステム、ブラウザーコンポーネント、仮想現実(VR)シミュレーションエンジンなどを作る上で利用すると考えられる場合が多い。このプロジェクトの支援を続けているMozillaは、プログラマーはRustを利用することで、ソフトウェアが脆弱になりにくく、攻撃されにくいものにすることができると述べている。