データサイエンティスト向けの言語であるJuliaのオープンソースプロジェクトがこのほど、同言語のユーザーや開発者を対象とする年次調査を実施し、その結果を発表した。この調査には、Juliaを使わないとした場合にどの言語を使うのかという質問も含まれている。
マサチューセッツ工科大学(MIT)によって設計され、数値解析分野の要求にも応えられるプログラミング言語であるJuliaの開発推進プロジェクトによって実施されたこの調査は、同言語でプログラムを開発している人々の好みを明らかにすることが目的となっている。2020年の調査に協力したJuliaのユーザーや開発者の数は、前年の1844人から2565人に増加している。
機械学習(ML)アプリケーションを手がけるデータサイエンティストから強く支持されているPythonは、Julia開発者がもしもJulia以外の言語を使う必要に迫られた場合に利用する言語として圧倒的な支持を得ている。
Pythonはプログラミング言語に関する複数の人気指標で3位以内に入っており、その人気はデータサイエンティストからの支持と、MLアプリケーションに対する要求の増加のほか、さまざまな分野での利用を広げていける豊富なPythonモジュールによってけん引されている。
一方のJuliaにもしっかりしたサポートが存在している。同言語に関する有償のサポートや訓練、コンサルティングを手がけるJulia Computingのほかにも、MITのコンピュータ科学・人工知能研究所(CSAIL)におけるJulia Labや、長期的な成功を目指すオープンソースコミュニティーがある。またRedMonkも以前、Juliaの着実な台頭は関心を持って注視すべきものだとしていた。
2019年の調査では、Juliaを使用しないならPythonを使用すると回答したJuliaユーザーは73%だったが、2020年の調査では76%となった。
Juliaユーザーの回答ではPythonが代替言語の最上位になったものの、Juliaの共同開発者であり、Julia Computingの共同創業者で最高経営責任者(CEO)のViral Shah氏は、Juliaユーザーであれば実際のところ、同言語のことを知れば知るほど他の言語に切り換えようという気を起こさなくなると主張している。
「Juliaの経験を積んでいくとともに、他の言語を使いたいとは思わなくなる。IEEE SpectrumのランキングでJuliaが急上昇し、上位20言語に入った理由はここにある」(Shah氏)