HexagonのSafety,Infrastructure & Geospatial事業部(Hexagon)と富士通は、デジタルツイン技術を活用し、自然災害の被害を予測し可視化するユースケースと、交通事故の危険性が高いスポットなどを改善策とともに提示するユースケースを共同開発した。富士通が6月13日に発表した。
自然災害のユースケースでは、降水量データから洪水氾濫の範囲や影響を計算することで浸水範囲を可視化し、被害予測分析を行う予測モデルを共同開発した。同モデルを使って分析した被害予測をもとに、両社が地域の災害対策本部や災害拠点病院における災害対応計画の策定などを支援する。
交通事故のユースケースでは、交通量や道路設計などの要因から衝突事故が発生しやすい危険性の高いスポットを特定した後、改善策を提案するアプリケーションを共同開発した。これを利用して行政・自治体、道路サービス事業会社の都市計画担当者や道路管理者における交通計画の策定などを支援する。
高度な洪水予測による災害状況の可視化(左)と施設被災予測状況の一元管理(右)
自然災害の被害予測と可視化では、最初の取り組みとして洪水予測モデルと降水量データにより、高度な洪水氾濫計算を行った。この取り組みでは可視化するだけではなく、災害拠点病院のインフラ被害予測、災害対応計画の策定、損害額の推定など、医療、金融、公共、流通といったそれぞれの業界が持つ課題・ユースケースを想定し、支援する。
この際のデジタルツイン技術の活用では、富士通の高度なコンピューティング技術とソフトウェア技術を誰もが容易に利用できるサービス群「Fujitsu Computing as a Service(CaaS)」と、Hexagonのリアルタイムな地理空間アプリケーション「M.App Enterprise」、さらに富士通の「デジタルリハーサル」技術を活用している。
デジタルリハーサルは、施策を実世界に適用する前に、デジタルツイン上で示された都市空間における人の振る舞いや社会の変化を再現し、その施策が与える効果や影響を把握することによって最適な施策を探索することのできる技術。
交通事故データの可視化・分析
交通事故の削減に寄与するアプリケーション開発では、Hexagonの可視化ツール「M.App Enterprise」と富士通の「Fujitsuマネージドインフラサービス」を組み合わせて、交通事故が多発している場所を可視化し、交通量、道路設計や道路標識、その他の要因を分析した。
この取り組みをベースに、国際道路評価プログラム(International Road Assessment Programme:iRAP)が提案する交通事故削減に向けた改善策「Road Safety Toolkit」に準じたプランを提示するアプリケーション開発を行った。
同アプリケーションは、例えば、交通量が少ないのに事故が多発しているスポットには、スピードを規制する、注意喚起の看板を設置する、ガードレールにより歩行者と車両の通行区分を分ける、などといった複数の改善策を費用対効果とともに提示可能。これらを行政・自治体、道路サービス事業会社の都市計画担当者や道路管理者へ提案し、導入時にコンサルティングサービスを実施する。