エクサウィザーズは11月1日、同社のAI開発環境「exaBase Studio」を第一生命保険が採用したと、報道機関向けの説明会で発表した。
exaBase Studioは各AIモデルやサービス、データを組み合わせてチャットボットなど現場の業務に役立つAIアプリケーションを構築するサービス。第一生命保険はexaBase Studioで構築した「AI活用プラットフォーム」と「Azure OpenAI Service」を組み合わせ、レポート作成や書類のひな型作成に利用する。なお、exaBase Studioは2024年3月までに一般提供を開始する予定だ。
第一生命保険が運用するAI活用基盤内で動作するexaBase Studio
従業員の業務負担を鑑みれば、AIソリューションの導入は喫緊の課題である。だが日進月歩で進化するAI技術を追従できる開発陣を取りそろえられる企業は多くない。
exaBase Studioは業務内容に則したAIアプリケーションを容易に開発できるローコード開発・実行・運用支援ツールだ。コンポーネント(部品)をキャンバスと呼ばれる領域に配置して、用意した「デプロイ」ボタンを押下すると各パラメーターを設定したモジュールを各クラウドサービスのコンテナーに展開し、動作検証やユーザーインターフェース(UI)の調整なども素早く実行できる。
また、エクサウィザーズが用意するテンプレートと組み合わせれば、非開発者でもAIアプリケーション開発に取り組める。エクサウィザーズの担当者はexaBase Studioの利点として「AIの問題点としてハルシネーション(偽情報)があるものの、exaBase Studioにはハルシネーションのチェック機能を搭載しているため、独自に実装する必要はない。機密情報の漏えいを防ぐ機能なども提供している」と説明した。
灰色の部分がキャンバス。ここに部品を配置していく
第一生命保険は当初からAzure OpenAI Serviceの業務利用を想定していたが、同社はexaBase Studioと組み合わせる大規模言語モデル(LLM)はOpenAIやAzure OpenAI Serviceをサポート済みながらも、用途に応じてLLMを変更できるexaBase Studioを評価し、今回の採用に至った。
エクサウィザーズは「特定のLLMに依存せず、今後登場する多様なLLMに対応する」とも述べている。
第一生命保険は設定内容に基づいて、社内の各データソースが保持する情報とインターネットの外部情報を統合し、従業員の活動を支援するレポート作成機能。申請書類の種類を指定すると、AIが各種法令や社内ガイドライン、過去の書類などを基にチェックし、ひな型の文書を提案する機能をexaBase Studioで検証中。2024年初頭から同年内中の社内展開を目指している。
また、企業のAI利用はリスクヘッジが欠かせないが、エクサウィザーズはプロンプトや生成内容監査、ログ機能で対応できるという。同社は「他の金融機関でも概念実証(PoC)を実施中。当社の基盤で各企業によるAI生成サービスの実装を支援したい」と意気込みを語った。