デンソーは、愛知県西尾市の善明製作所にデジタルを駆使した新工場を建設すると発表した。主に自動車向けの大規模統合ECU(電子制御ユニット)の生産を担い、2028年度上期の生産開始を計画している。
同社によれば、新工場は同社の次世代工場コンセプトを構想段階から織り込む初の工場になり、「フレキシブル生産システム」「24時間無人稼働」「デジタルを駆使した働き方」の3つを特徴に挙げている。
フレキシブル生産システムでは、製品を構成する部品や材料の標準化を推進し、設備の組み換えが容易な生産ラインと組み合わせて、1つのラインで多品種生産による製品の種類や量の変動へ迅速かつ柔軟に対応できるようにするほか、生産設備を構成する部品やユニット、加工プログラムなどの標準化を進め、ソフトウェアの互換性も高めて設備の新設や組み換えなどの生産準備に要する時間を大幅短縮するという。
24時間無人稼働では、カメラやセンサーで設備やモノの流れを常時監視し、設備停止につながる予兆を検知した場合に、遠隔での状況判断と設備の停止前に対応することによる、生産ラインの24時間稼働を目指す。また、生産ラインに加えて材料や部品などの荷卸、工場内での搬送、材料の補給・投入、製品出荷のための梱包までを自動で行う無人化を図る。
デジタルを駆使した働き方では、デジタルツイン技術で仮想空間に工場を再現し、設備の製作前に設備動作をシミュレーションする事前検証により、効率的で無駄のない生産システムを構築するほか、製造現場のノウハウを形式知化し、誰もが使えるようにデータベースを構築、活用することにより、高いレベルの自動化を推進して迅速な改善サイクルの実施による製造の進化を促進する。
新工場の建設は2025年度上期に着工し、2027年1月の竣工を予定。建屋の総投資額は約690億円で、自動車の電動化製品や高度運転支援システム(ADAS)製品などを制御するECUの生産を行う。
デンソー新工場の外観イメージ