IDC Japanは2月15日、日本国内における2010年第4四半期(10~12月)と2010年のクライアントPC市場実績値を発表した。これによれば、2010年第4四半期の国内クライアントPC出荷台数は、前年同期比11.7%増の387万台となった。その結果、2010年の国内クライアントPCの出荷台数は過去最高となり、前年比17.9%増の1578万台に達したとしている。
2010年のPC出荷台数は、家庭市場が738万台、ビジネス市場が840万台。家庭市場では、前年比10.8%増のプラス成長となり、その要因としてエコポイント効果で家電量販店への客足が増えたことが影響しているとIDCでは説明している。一方、ビジネス市場は、業績が回復した企業を中心にPCの買い替えが進み、さらにスクールニューディールの特需も貢献して、前年比24.9%増の大幅な伸びを示したという。
ベンダー別シェアでみた場合、2010年は上位3社のNEC、富士通、東芝がスクールニューディール特需の恩恵を受け、シェアを大きく伸ばしたという。3社の中では東芝が、2009年の4位から3位に順位を上げた。また2011年の1月にNECとの戦略的提携を発表したレノボは、販売戦略の強化を行ったことが功を奏し、前年比で60%を越える高い成長率を達成したという。
2010年第4四半期のPC出荷台数は、家庭市場が前年同期比4.2%増の188万台、ビジネス市場が同19.9%増の199万台となった。家庭市場は、オールインワンタイプがデスクトップ出荷の6割を超えるまでに成長。逆にミニノートブックPCは前年同期に比べ60%減の12万台まで縮小した。一方ビジネス市場では、2010年10月22日以降にPCベンダーからのWindows XPの出荷が停止されたことを受けて最後の駆け込み需要あったことと、企業の買い替えも順調に進んだことで出荷台数を底上げしたとIDCではみている。
またIDCは、2010年第4四半期のベンダーハイライトとして、富士通がベンダーシェアでNECを抜き1位になったことを挙げている。それ以外の順位の変動は、上位5社の中ではなかった。富士通は、家庭市場で秋冬モデルの出荷が貢献、またビジネス市場では、大企業向け、中小企業向けだけでなく、官公庁向け出荷も好調だった。これにより、前年のスクールニューディール特需を含んだ総数を上回る結果になったとIDCでは見ている。
2位のNECは、ビジネス市場では大企業向けの出荷が好調だったものの、前年同期のスクールニューディール向けに出荷された台数を補う程度にとどまった。家庭市場では、前期に発表したモデルのキャンペーンを行ったが、富士通にとどかず、総合で順位を落とした。3位の東芝は、これまでポータブルPCが中心であった製品ラインアップに、オールインワンのデスクトップを加えて家庭市場の出荷台数を大幅に伸長。またビジネス市場では、中小企業向けの出荷が堅調だった。4位のヒューレット・パッカードは前期と同じ順位となったが、前年同期比で44.5%という高い成長率を達成し、シェアを前期から1.1ポイント上げた。特にビジネス市場では、中小企業のWindows XPの駆け込み需要だけでなく、大企業の需要を取り込み、シェアを伸ばしているという。
IDC Japan、PC、携帯端末&クライアントソリューショングループマネジャーの片山 雅弘氏は「2010年第4四半期の国内市場は前年同期で11.7%と2桁の成長となったが、世界市場は、逆に同比3.4%と失速した。この状況が続けば、NECとレノボの提携だけでなく、世界市場においても業界再編の動きが加速する可能性がある」とコメントしている。