グローバルなコラボレーション基盤を実現へ--パナソニックの選択
企業や行政機関などあらゆるビジネスの場において、今や適切なコラボレーションツールは必須の存在となった。国をまたいで事業展開する企業は当然として、多くの業界で合従連衡の流れが加速する昨今では、統合後のシナジーを高める必要性からもコミュニケーションの最適化は優先度の高い課題になっているはずだ。
パナソニックも同様の狙いから、社員間の協業を推進し、事業展開を迅速化するためコミュニケーション基盤を刷新した好例だ。同社はパナソニック電工と三洋電機の完全子会社化とグループ再編に伴い、20万人超が利用するグローバルなコーポレートコラボレーション基盤にIBMのLotusLiveを採用した。この発表は2011年11月9日に出ているが、間接部門の全従業員約20万人のユーザープロファイルを登録することで、写真、部署名、仕事内容などの共有を大幅に効率化。チャットやウェブ会議などで時間や空間的な制約も解消した。さらに共同作業を効率化する機能などの活用でワークスタイルにも変化が現れ始めてきているという。
同社に訪れているのは、具体的にどういった変化なのか--。それを具体的に指し示してくれるのが、下記2つの事例だ。
メール中心の業務遂行が限界に--大手イベント企業の場合
George P. Johnsonは、イベント・マーケティング・エージェンシーとして世界トップの売上規模を誇る米国本拠の企業だ。国内でも日本法人が、大規模な展示会から小規模なセミナーまで、多様なイベントの企画・運営を手がけており、大きなイベントでは、社内・社外の関係者が100人を超す一大プロジェクトになるという。
だが、それを管理するツールの使い勝手は良くなかった。米国本社が自社開発しておりインターフェースは英語のみ。利用が浸透せず、結果としてスプレッドシートでプロジェクトを管理し、情報共有の手段はメール中心という進め方が常態化していた。メール送受信の時間差によるロスや容量制限などの非効率に悩まされていたという。
もっと完成度の高いイベントを成功させたい--。こうした思いから日本法人では、ファイル共有とアクティビティー管理、インスタント・メッセージなどの機能が組み込まれたコラボレーション・サービス「LotusLive Connections」と、プレゼンテーションを共有しながらインターネット経由で会議が行える「LotusLive Meetings」の導入に踏み切った。
LotusLive Connectionsの導入で、まずは重いメールのやり取りが解消。ゴールの明確化、必用なタスクの明確化・見える化により、生産性も向上した。メール中心だった従来に比べ、”コンテンツ”に費やせる時間が明らかに増加したことが実感できたと振り返る。
ウェブ会議も奏功した。LotusLiveMeetingsであれば社外のメンバーをゲストとして招待でき、資料の共有や音声の録音機能などで出張も削減できる。東日本大震災の発生後には、社員が自宅から会議に参加するなど、事業継続の面からも大きく救われたという。
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