スパムの新しい送信方法が開発されたことからその数が急増しそうだと、スパム対策の専門家が注意を呼びかけた。
SpamHaus Project(本部:英国)によると、PCを乗っ取る悪質なソフトウェアが新たに開発されたという。同プロジェクトでは、スパム対策としてブラックリストを編集し、1日80億通のメッセージをブロックしている。このソフトウェアに乗っ取られた「ゾンビPC」は、ユーザーのISPのメールサーバ経由でスパムを送信するため、ジャンクメールがそのISPから送られてきたように見え、結果的にスパム対策用のブラックリストを使ってブロックすることがかなり困難になってしまう。
これまでは、ゾンビPC自体がメールサーバとして利用され、スパムメールを受信者に直接送信していた。
「このトロイの木馬は、スパムデータをISPに送信するようプロキシに対して命令できる」(SpamHausディレクターのSteve Linford)
Linfordは、このトロイの木馬についてスパム用ソフトウェアを書いたのと同じ人物が開発したものだ、との考えを示した。
米国のISPはすでに攻撃を受けている可能性がある。「主要ISPからのスパムが急増している。現在、すべてのISPのメールサーバから大量のスパムが送信されている」(Linford)
大手ISPのドメイン名が付いたメールをブロックすることは非現実的であるため、こうなると電子メールのインフラに深刻な問題が発生する可能性がある。Linfordは、今後2カ月間はISPでジャンクメールの送受信数が増加し、電子メール全体に占めるスパムの割合は現在の75%から1年以内には約95%に達する、との予測を示している。
「電子メールのインフラが機能しなくなり始めている。電子メールに大幅な遅延が発生し、サーバは破綻する。これは電子メール崩壊の始まりだ」(Linford)
ISPはこの問題を早急に掌握する必要がある、とLinfordは述べた。
「ADSLアカウントから来る電子メールの数を制限する必要がある。侵入したウイルスを素早く除去する必要も出てくるだろう。ISPには大量のスパムが来るので、各ユーザーに電話をかけてトロイの木馬の存在を通知するには人手があまりに不足している。それに、通知できてもだれにも話が通じないかもしれない」(Linford)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。