携帯電話に感染するウイルス「Cabir」が日本で初めて見つかった。フィンランドに本社を構えるネットワークセキュリティベンダーのF-Secureの日本法人である日本エフ・セキュアが明らかにした。
2月に香港を旅行していた日本人が、現地でVodafone 702NKを利用し、「フルに充電したのにバッテリーが30分程度しかもたない」「携帯電話の画面に見慣れないCabirの文字などが表示される」など、携帯電話の挙動がおかしいことに気付いた。そして、このままこの携帯電話を日本に持ち帰り、日本エフ・セキュアに問い合わせをしたことで感染が発覚した。
同社では「Cabirの感染や症例が日本で発見されたのは初めてで、世界の国の中では16番目に発見が報告された」としている。この携帯電話を通じて、ほかにも感染が広がったかどうかはわからない。
Cabirは、基本的にはOSにSymbianやWindows Mobileなどを搭載し、bluetooth機能が有効になっている携帯電話に感染する。具体的には、bluetoothを通じてワームが含まれる「caribe.sis」というファイルを携帯電話のinboxに送信する。受信したユーザーがこれをクリックしてSISファイルのインストールを選択するとワームは活性化し、bluetoothを利用して周囲の携帯電話に感染を広めようと接続を繰り返す。
ただし、日本エフ・セキュアでは「問い合わせのあった人からはまだ検体(ウイルスファイル)を入手していないので、どのような種類なのかなど詳細はわからない」という。2004年6月に世界で初めて発見されたCabirは、ほとんど害のないものだった。しかし、現在はおよそ20種類の亜種があり、携帯電話のファイルを削除したり、強制的に警察など特定の電話番号にかけ続けたりするなど、悪質なウイルスへと変貌を遂げている。
同社では、検体を調べてみないとはっきりしないが「携帯電話のメモリーが使い切られてしまうなどの症状もあるようで、今回日本で見つかったのは深刻な症状を起こす新たな亜種の可能性もある」と語った。検体を入手すれば、1〜2日で対策できることも付け加えた。