IPルータ分野でライバルの追撃をかわすため、Cisco Systemsは新しいOSを採用して旧型のルータ製品ラインを蘇らせようとしている。
Ciscoは現地時間18日に、同社のルータ製品である「Cisco 12000」シリーズ向けにIOS XRを提供していくと発表した。同OSは、もともとCiscoの次世代コアルータ「CRS-1」向けに開発されたものだ。IPコアルータとは、通信事業者やインターネットサービスプロバイダ(ISP)がインターネットを行き来するトラフィックの処理に使用しているもの。
Ciscoの売上のうち、電話会社やISP、ケーブルテレビ会社からの売上は25%を占めている。この分野は同社にとって重要な市場だ。そして、通信事業者らがデータやビデオ、音声など、すべてのトラフィックのやりとりをInternet Protocolベースのネットワークに切り替えるなかで、Ciscoはこの新興市場から利益を得ようと待ちかまえている。
「今日のサービスプロバイダ市場における成長の大半は、IPによるものだ」と、Cisco最高経営責任者(CEO)のJohn Chambersは、先ごろCNET News.comが行ったインタビューのなかで述べていた。「そして、われわれは、まさにその中心にいる」(Chambers)
CiscoはIPルータ市場で首位に立っている。IPルータは、インターネットでデータをやりとりするのに用いられる機器。同社は現在、着実に市場シェアを拡大しているJuniper Networksからの激しい追い上げにあっている。Ciscoは「Cisco 12000」シリーズ向けに最近開発したIOS XRを採用し、Juniperに対して反撃に出ている。
IOS XRは、2004年に発表されたCRS-1向けにつくられたものだが、CRS-1の開発には4 年間に5億ドルの開発費用が投入された。IOS XRはモジュール化がさらに進んでおり、サービスプロバイダらが、トラフィックの流れをさえぎることなく、既存のネットワークをアップグレードできるため、旧世代のコードに比べて機能が向上していると考えられている。さらに、新OSではいくつかの自律回復機能が提供されていることから、信頼性もさらに高まっている。
アップデートされたCisco 12000ルータ製品群は、そのOS名を反映する形で、Cisco XR 12000という名称に変更されている。Cisco 12000シリーズは全世界で約2万5000台が導入されており、Ciscoにとってはきわめて重要な製品である。CRS-1は世界の中でも大規模なネットワークを対象に設計されているが、これに対しCisco 12000はそれよりも規模の小さいネットワークで用いられている。12000はまた、キャリアのネットワークのエッジ部分でトラフィックを集約するのにも使われている。
Cisco XR 12000は6月にも登場するとみられ、基本構成時の価格は4万5500ドルになるとCiscoでは説明している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ