Hewlett-Packard(HP)は米国時間31日、SAP製アプリケーションを使用する企業向けに、新しいユーティリティコンピューティング機能を提供するハードウェア、ソフトウェア、サービスを組み合わせたパッケージを発表した。
「HP Virtualized Infrastructure Solutions (VIS) for mySAP Business Suite」と呼ばれるこのパッケージを使うことで、企業は各タスクの必要に応じた処理能力を割り振ることが可能になる。たとえば、SAPの財務ソフトウェアをHPのシステムで稼働している顧客は、高度な分析作業を行うアプリケーションに、通常のアプリケーションよりも多くの計算処理能力を割り当てることができる。
このインフラパッケージは、HPの進める「Adaptive Enterprise」の取り組みの一部として発表されたものだが、これを利用すれば計算処理能力がインテリジェントな方法で供給されるため、SAP製品を利用する企業がITネットワークの規模を縮小できると、同社の幹部は説明している。
HPのEnterprise Solution Alliancesでゼネラルマネージャーを務めるRon Ellerによると、同技術を試験的に導入した企業では、すでにITシステムの規模が縮小しているという。
「まずはアーキテクチャを見直し、仮想化が可能な特定の資産--しかも、異なるタイミングと方法でさまざまなアプリケーションへの提供が可能なもの--の統合を検討する」とEllerは述べる。「システムの数を減らし、ピーク時用のリソースを1箇所にプールしておくことで、コンピューティング環境を簡素化できる」(Eller)
HPでは、VISの導入事例として、マグデブルグ大学の例を紹介した。同大学は、SAPの本国であるドイツにあり、SAPが多くのエンジニアに同社製品のトレーニングを実施している。同大学では、さまざまなアプリケーションについての授業を同時に行うため、学校側は特定のソフトウェアが必要とする計算処理能力を、常に一定の割合で保つのではなく、各授業からの要求に応じて割り当てるようにしている。
大半の企業は、マグデブルグ大学のような極端な方法でエンタープライズアプリケーションを利用することはないと、Ellerは指摘した。しかし同大学における実験は、このインフラ技術を使うことで、さまざまなアプリケーション間でリアルタイムに計算処理能力をシフトできることを示していると同氏はいう。Ellerはさらに、インフラの仮想化がもたらす別の利点として、企業がすでに所有するITシステムを活用しながら業績を改善できる点を挙げた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ