IBMは米国時間3日、同社のメインフレームおよびミッドレンジサーバハードウェアを利用するユーザーに向け、ポータルソフトウェア「WebSphere」の最新版をリリースした。
このリリースからは、IBMが同ポータルツールと、広く利用されている同社の「zSeries」「iSeries」製品とを関連付けようとする同社の意向が見て取れる。IBMは、ユーザーがITポータルにSOA(Services Oriented Architecture)機能を統合できるよう取り組んできたが、今回のアップグレード版WebSphereには、そうした取り組みの成果が反映されている。
SOAはIT設計モデルの1つだ。これを用いて、Webサービスを細分化すれば、各サービスの単独利用や、ほかのツールとの併用が可能になり、系統だったコンピューティングタスクを処理することができるようになる。SOAを用いて作られたプログラムは、しばしば複合アプリケーションと呼ばれている。
IBMは、今回のWebSphereソフトウェアのアップグレードにおける最も大きな成果は、企業ユーザーが、組織内で専門的な作業を行うためのポータルとして、複合アプリケーションを簡単に開発できるようになったことだと述べている。例えば、同ツールを用いて開発したポータルを使用するコールセンターの職員は、調達/製造/CRM(Customer Relationship Management)システムのさまざまな要素にアクセスして、それらのアプリケーションから特定の情報を取得し、クライアントのサービス要求をよりうまく処理することができるという。
IBMによれば、新しいWebSphereソフトウェアでは、SOA機能が拡充されたほかにも、ウェブコンテンツの管理や、細部までカスタマイズ可能なポータルの開発を可能にする機能が強化されているという。
IBMのウェブポータルマーケットマネージャChris Lambは、自動車メーカーVolkswagenなどをはじめとする同社の顧客が、すでにこのテクノロジーを利用して、従業員のニーズを満たす複合アプリケーションを開発していると述べた。Volkswagenは調達担当スタッフ向けのアプリケーションを開発しており、これを利用すると任意の情報検索に要する時間が短縮されることから、同社の生産性はおよそ20%向上したと、Lambは顧客の事例を紹介している。
「人々と、彼らが利用しているビジネスプロセスをより密接に結びつけ、ポータルインターフェースを用いてビジネスタスクを処理している人々にアプリケーションを提供するというのが、新たなWebSphereの理念だ」とLambは述べ、さらに「ポータルが利用され始めたのはつい数年前のことだが、今日では、IBM製品の信頼性は広く認識されている。Webサービス開発の支援に関してわたしたちが学んできたすべてのことを、今こそユーザーに活用してもらいたい」と話した。
Lambはまた、銀行/小売り/製造業などの特殊なマーケットで、同社のzSeriesおよびiSeriesサーバハードウェアが好評を博していることから、IBMでは、新しいWebSphereツールに対して最も大きな関心を示すのも、こうした業種の企業だと考えていることを明らかにした。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ