IBMとMaersk Logisticsは、RFIDタグの概念を世界の航路や港湾に持ち込もうとしている。
両社は米国時間20日、大型コンテナに「Tamper-Resistant Embedded Controllers(TREC)」と呼ばれる無線追跡装置を装備する取り組みについての詳細を明らかにした。バックエンドソフトウェアと無線ネットワークを組み合わせたこのセンサーシステムを使うことで、荷主は貨物の動きや在処をリモートらら把握できるようになる。
このシステムは、物流大手のMaerskと、研究及びビジネスコンサルティングの知見を持つIBMが共同で設計したもの。両社はこの日ニューヨークで開催された「U.S. Maritime Expo」というイベントでプレス発表会を行い、この計画を明らかにした。
来年発売予定のこのシステムは、海運会社にコンテナの動きを知らせる情報をリアルタイムで提供するためのものだが、こうした情報を利用できれば、企業は物流に関する効率の改善やセキュリティ強化を図れると、IBM幹部は説明した。
「われわれは当初、各国政府の要望に応えようと、セキュリティに重点を置いていた」と、IBMのStefan Reidyは言う。同氏は「Intelligent Trade Lane」と呼ばれるこのプロジェクトで責任者を務めている。「だが一般企業は、投資対効果(ROI)を考慮し、サプライチェーンの中から利益を見込めると判断したときのみ、投資を行う」(Reidy)
こうした情報から得られるメリットとしては、たとえば荷主が在庫状況に応じて異なる倉庫に貨物を振り分けられるといった点が考えられる。
また、セキュリティの点では、このシステムに備わったセンサーを利用し、コンテナの動きに関する記録を残すことで、いつドアが開かれたかといった事柄が把握できるようになる。
このシステムの中核となっているコンピュータは、シガーボックスサイズで、コンテナのドアから中に滑り混ませることが可能だ。これには8つのセンサーが取り付けられており、温度や位置、明るさなどを検知できるようになっている。そして、コンテナの最上部に取り付けられたアンテナが、短距離無線のZigbee、携帯電話のデータ通信に利用されるGPRS、あるいは低空衛星ネットワークのIridiumといった無線ネットワークを利用してデータ通信を行う仕組みになっている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ