IBMは今週、東芝やソニーと共同開発するCellプロセッサをベースにしたブレードサーバのデモを行うとみられている。
Cellプロセッサは、「PowerPC」のプロセッシングコアを持ち、それを8つの専用コアで補完してチップの計算能力を引き上げる。また、同プロセッサは、ソニーからまもなく登場するゲーム機「PlayStation 3」の頭脳でもある。
IBMは、Cell版ブレードサーバの用途について語ってはいないが、ハイパフォーマンスの技術計算向けになる可能性が高い。IBMはこの市場に力を入れており、Cellが搭載する8基のSynergistic Processing Engine(SPE)も高速計算に適している。
IBMは、2月8日に第2世代のBladeCenterをニューヨークで発表するが、Cellのデモはこのとき行われる見込みだ。このイベントに詳しいに情報筋によると、新しいBladeCenterは「BladeCenter H」という名前になる見通しだという。IBMはこれについてのコメントを控えている。
IBMは既にブレードサーバ市場をリードしているが、Cellベースのブレードは、新たな技術計算処理分野への参入によってリードを維持したいという同社の姿勢を示すものである。
ブレードサーバはクラスタ環境では一般的ではない。ブレードサーバは、通常のラックマウントモデルよりコストが高い場合が多く、科学計算アプリケーションには不要な信頼性重視の仕様になっている。しかしCellブレードにより、この考え方が変わる可能性はある。Cellチップの専用計算エンジンを使うことで、一定数のブレードでも処理量が大幅に増加するためだ。
クラスタ処理ではLinuxの人気が高く、IBM、ソニー、および東芝は、CellバージョンのLinuxをリリースしている。このバージョンには、シンプルなプログラムの読み込みや受け渡しを専用コアで実行するための機能が搭載されている。
CellのPowerPCエンジンは、IBMの「SJ20」ブレードサーバやApple ComputerのPowerPC版Macが搭載する「IBM PowerPC 970」チップファミリーと同じ命令を実行できる。しかし、専用エンジンは命令が異なるため、IBMではソフトウェア開発に利用されるGCCに同チップのサポートを組み込んでいる。