Linuxもついに「見た目で勝負」--ノベル、新ソフト「Xgl」を公開

文:Stephen Shankland(CNET News.com)
翻訳校正:坂和敏、尾本香里(編集部)

2006-02-07 20:29

 WindowsやMacのルック&フィールが話題となることが多い中、Novellがこのほどリリースした新しいソフトウェアが、Linuxのインターフェースを派手でゴージャスなものに変える可能性がある。

 「Xgl」というこのソフトウェアは、コンピュータに内蔵されたグラフィックチップを利用してデスクトップの表示機能を強化し、透明なオブジェクトや3D効果、ズームするウィンドウといった表示を可能にするもの。このソフトウェアを導入することで、テキストの表示速度など、ユーザーインターフェースに関する実用的な部分も改善できると、Novellのデスクトップ開発担当バイスプレジデントNat Friedmanは述べている。

 Friedmanは、Xglで可能となる新たな機能のなかには他のオペレーティングシステム(OS)ですでに実現されているものがある点を認めた。だが、同氏はオープンソースのLinuxの場合、事情が異なると考えている。

 「オープンソースの世界では、開発者がそのフレームワークを手に入れているところに、われわれが新しいユーザーインターフェースのパラダイムを提供するという状況がいくつもある。これもそうした状況の1つになるだろう。Macではこんなことはできない。Xglを元にしたインターフェースが1000種類登場して欲しいと思う」(Friedman)

 Xglの開発を率いるNovellのリードプログラマDavid RevemanはXglのソースコードを先月リリースしていた。そして米国時間2月7日にNovellはXgl用プラグインのフレームワークとサンプルをリリースする予定だと、Friedmanは語った。また、Xglは、Novellの次期エンタープライズ向けSUSE Linux製品にも組み込まれることになっている。この次期バージョンは5月か6月に出荷の予定だ。

 ユーザーフレンドリーなインターフェースを実現するうえで、グラフィックスの活用は重要だ。ソフトウェアエンジニアはこれまで、コンピュータを使いやすくしようとして、こうしたインターフェースを開発してきた。ただし、ユーザーインターフェースの中心となるWIMP(ウィンドウ、アイコン、マウス、ポインター=カーソル)のアイデアには、長年ほとんど変化がなかった。

 ところが、最近ではグラフィックスに関連する革新的な技術が次々に登場している。Apple ComputerのMac OS Xには新しい視覚的な機能が組み込まれており、また2006年末までに登場するMicrosoftの次期OS「Windows Vista」にも新たな表示機能が搭載されることになっている。Vistaには「Windows Presentation Foundation」(開発コード名「Avalon」)と呼ばれる描画エンジンが搭載される。また同OSには「Sidebar」という機能も含まれるが、このなかにはMac OS Xの「ウィジェット」に相当する簡単なユーティリティ類を表示できる。

 だが、Directions on MicrosoftのアナリストMichael Cherryは洗練された画面表示機能がまだ提供していないと同氏が考える何かが欲しいと言う。これらのOSはどれも同じように見映えのする画面表示機能を搭載するが、同氏は「われわれの生産性を引き上げる方法を見つけ出した者こそ、本物の勝者になれる」と述べている。

画面表示機能の向上には実用面でのメリットも

 Friedmanは、Xglを開発した動機について、表面的な部分に関する機能を提供することが大きな部分を占めていた点を認めたものの、やはり見た目は重要だと主張した。たとえば、Xglではウィンドウの表示を最小化させると滑らかにタスクバーに吸い込まれていき、また必要な際にはズームアウトさせることが可能だ。この視覚的なギミックによってシステムの理解が容易になると同氏は考えている。

 「こうした細々とした事柄によって、デスクトップに物理的な感覚が備わる」(Friedman)

立方体の各面に別々のデスクトップを表示可能。デスクトップの選択は立方体を回転させて行う。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    警察把握分だけで年間4000件発生、IPA10大脅威の常連「標的型攻撃」を正しく知る用語集

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    「2024年版脅威ハンティングレポート」より—アジアでサイバー攻撃の標的になりやすい業界とは?

  4. ビジネスアプリケーション

    Microsoft 365で全てを完結しない選択、サイボウズが提示するGaroonとの連携による効果

  5. セキュリティ

    生成AIを利用した標的型攻撃とはどのようなものなのか?実態を明らかにして効果的な対策を考える

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]