iPod Shuffleの配布は、こうした情報教育の一環として始まった。栗本氏は、「配布したパソコンを十分に活用している学生もいるが、中にはあまり活用できていない学生もいた。無線LANを整備して利用率を高めたように、パソコンを使うためのモチベーションをさらに上げようという観点で新たな施策を考え、iPodの無償配布に至った」と説明する。
名商大でのiPod活用方法
同大学の学生は、1年生の授業としてコンピュータリテラシーの講義を開講しているが、この授業にてiPodをデータ保管用として利用するための基礎を学ぶ。その上で、ほかの授業でもiPodを使った教材の配布やレポートの提出を行い、iPodを活用している。
また、情報教育の促進がiPod導入のきっかけだったとはいえ、やはり同校でも語学教育におけるiPodの役割は大きい。同大学は、商学系の学部のほかに外国語学部も設置しており、語学系の授業とiPodの連携を図っている。
具体的には、英語の音声教材をサーバに登録し、自習用に提供しているほか、試験でこの音声データを元にした問題を出題している。登録されている音声データは、現時点で約750タイトルにもおよぶ。
また外国語学部には、ベトナム語やタイ語、韓国語、中国語などアジア言語を中心に学ぶ学科があり、こうした言語の教材を教師が独自に録音、配信サーバに登録している。「韓国語や中国語の教材は増えてきているが、ベトナム、タイ語となるとまだ数は少ない。こうした言語の教材を独自に提供することで、学生が生の言語に触れる機会を増やしている」と栗本氏は説明、「今後も教材の少ない言語の学習にiPodを活用したい」としている。
大学の図書館内には、「Self Access Center」(SAC)と呼ばれる語学の自習センターを設けている。同センターではiPodの講習会を通じて学生のサポートを行うほか、語学学習に役立つポッドキャストを紹介するなどして、iPodを通じた学習を促している。
2006年4月もパソコンとiPodで情報教育を
名古屋商科大学では、2006年4月の新入生にもiPod Shuffleを無償配布する。希望者は、有償にてiPod nanoへのアップグレードも可能だ。もちろん、古くから無償提供されているパソコンの配布も続いており、iBook G4(またはアップグレードにてMacBook Pro)が提供される予定だ。栗本氏は、「今後も常に新しい試みにより、学生のパソコン利用と情報教育を推進していく」と述べた。