カリフォルニア州クパチーノ発--Symantecの最高経営責任者(CEO)John Thompson氏によると、同社は今後も企業買収を続けながら、IT業界のなかでより大きな新しい役割を担う企業になることを計画しているという。
同氏は、Symantecはもはや単なるセキュリティ企業ではなく、これまでは他のセキュリティ企業を相手に戦っていたが、現在ではCAやMicrosoft、Oracleなど戦う必要があると明言した。
当地にあるSymantec本社で行われた会見のなかで、Thompson氏は「当社は2000年に、ウイルス対策ソフトのメーカーを卒業した」と語った。同氏によると、「セキュリティ」という言葉さえ、もはや自社の業務を正確に表すことはできないという。「われわれの仕事はプロテクション(安全性を確保すること)だ。(テレビドラマの)Tony Sopranoのようにとは言わないが、データにプロテクションを近づける必要性を認識している」(Thompson)
Symantecは2004年12月に135億ドルを投じてVeritas Softwareを買収したが、大々的に報じられたこの買収が、同社によるポジショニング変更の主な原因となっている。
「過去12カ月間に、何件かの大規模な不正アクセス事件が起こっている。それが、Veritasとの合併の正しさを証明するというわけではないが、プロテクションをデータに近づける必要性は明らかになった」(Thompson氏)
同氏は、Veritas買収当時には、多くの投資家がセキュリティ企業とストレージ企業による合併の妥当性を理解していなかったことを認めた。しかし、おそらく技術よりも数字を重視し、いまだにVeritas買収を疑問視している一部の株主をThompson氏は説得しようとしていると述べた。
Thompson氏は、これまでと同じペースで企業買収を進め、社内整備にもさらに力を入れると述べたが、「SymantecがVeritasと同じ規模の企業買収に関与することは当面はない」とした。
関心のある分野を問う質問に対しては「Microsoftのように市場を独占できるような技術が欲しい。しかし、Microsoftよりはもっと優しい独占企業になる」と冗談を口にした。
同氏のMicrosoftについての発言はさらに続いた。Microsoftはセキュリティ分野への進出を進めているが、そのことで夜眠れなくなったことはまったくないと同氏は述べ、Microsoftを「新米」と呼びながら、同社はまだ口だけで行動が伴っていないとした。
「『OneCare』を市場に出し、どうなるかを見てみよう」とThompson氏は述べ、Microsoftが楽に獲得できるのは、セキュリティ対策をほとんどあるいはまったく行っていないユーザーで、全体の60%程度だろうとした。「Microsoftにセキュリティ対策済みのユーザーの一部を取られるのはおそらく避けられないだろう。しかし、われわれには実績と信頼性がある。Microsoftは現時点では実績も信頼性も無く、これから築かなければならない」(Thompson氏)
Symantecの株主のなかには、ここ1年ほど同社の戦略に懸念を示す者もいた。だが、Thompson氏はいまでも、既存事業の拡大とならんで、戦略的買収を行うことのほうが、株主に配当金よりも大きな価値をもたらすと考えていると述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ