インテル、45nm製造プロセスをデュアルコアチップ製造に導入

文:Tom Krazit(CNET News.com) 翻訳校正:中村智恵子、小林理子

2006-05-11 21:40

 新しいチップデザインの導入を加速させるという積極策をとるにあたって、Intelは急がば回れの方針をとっている。

 Intelの戦略に詳しい筋の話によると、同社は2種のデュアルコアチップを、45ナノメートル製造プロセスの導入と同時期にあたる2008年にリリースする計画だという。同社は、PC用4コアプロセッサ「Kentsfield」を2007年に出荷する計画をすでに明らかにしているが、45ナノメートル製造プロセスはまず、これまで通りのデュアルコアチップ製造に導入されると予想されている。

 Intelが45ナノメートル製造プロセスを導入しようと計画している最初の2種のプロセッサは、開発コード名を「Wolfdale」および「Penryn」という。同社の最高経営責任者(CEO)であるPaul Otellini氏は4月末に、アナリストとの会合で、まもなくリリース予定の「Core」アーキテクチャプロセッサの45ナノメートル製造プロセスバージョンの開発コード名がPenrynであることを明かしていた。製造プロセスについている数字は、こうしたチップを製造する際の、基本的な線の幅を表している。

 しかし、情報筋によれば、PenrynはノートPC用にデザインされたデュアルコアの45ナノメートル製造プロセスによるチップだという。Wolfdaleは、同時期に予定されているデスクトップ用のデュアルコアの45ナノメートル製造プロセスによるチップの開発コード名になる。Penrynは本質的には8月にリリース予定の「Merom」の小型バージョンであり、Wolfdaleは7月にリリース予定の「Conroe」の小型バージョンとなる。

 あるIntel関係者は、これら2つの開発コード名が進行中のプロジェクトを表すことは認めたが、今後変更もありうるということを除き、詳細に関するコメントは避けた。

 Intelは新しいデュアルコアのCoreアーキテクチャプロセッサのリリースを今夏に控えており、これはここ数年で最も重要な製品発表の1つとなる。同社は近年、消費電力の大きい「Netburst」アーキテクチャから、性能と省電力設計の点で著しい向上が見込まれるCoreアーキテクチャへの移行に注力してきた。

 Coreチップのリリースを進めながら、将来的には新しいチップデザインの導入を加速させるという計画を、Otellini氏は明らかにしている。新しいチップデザインを2年ごとに発表し、これに関連して新しい製造技術の2年ごとのロードマップを描いていく計画だ。

 PenrynおよびWolfdaleは、Coreアーキテクチャの後継となる「Nehalem」マイクロアーキテクチャに基づいて設計される最初のチップになる。Mercury Researchのアナリスト、Dean McCarron氏はこの計画を知って、Intelがこれらのチップをデュアルコアチップで製作すると決定したのは、新しいデザインを確実に大量生産できるようにする点に主眼がおかれていることを物語るものだという。

 どのチップメーカーでも新しい製造技術を導入する場合、一定のリスクが内在し、これはPenrynおよびWolfdaleの場合も同様だとMcCarron氏は述べる。つまり数百万単位でチップが量産される場合、新しい製造プロセスによってどのような問題が起きるか、チップメーカーには確実な予測ができない。そのためチップメーカーとしては十分にわかっているデザインで製造プロセスを導入することから始める傾向があるというわけだ。

 だからこそ、Intelは2007年に登場予定の初めての新型4コアプロセッサには、マルチチップパッケージング技術を採用した。これは2005年に初めてデュアルコアチップを発表したときと同じアプローチだ。4コアチップのKentsfieldは、実際には2つのConroeプロセッサをパッケージングしたものだ。この手法では性能面で若干の不利が生じるし、洗練されていないという非難も受けはするが、Intelにとっては、シリコンウエハから切り出せる有効なプロセッサの数を最大にすることが可能になる点が重要なのだ、とMcCarronは語った。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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