--ネットワーク関連企業としての、アプリケーションアーキテクトへのアプローチというのは具体的にどのようなものでしょうか。
アプリケーションアーキテクトは、自分たちが作り出すアプリケーションをどのようにエンジニアリングすべきかを常に考えている人々です。F5では、約2年ほど前に「F5 DevCentral」というコミュニティサイトを立ち上げました。これは、われわれの技術や製品を利用して、パフォーマンスやセキュリティの面で、より良いシステムが作れるよう、情報面で支援するコミュニティです。
アプリケーション開発を行っている技術者は、ベンダー側の提供する宣伝文句を信用しません。実際に「これだけのメリットがあった」という実例を提示することで、初めて信用が得られるのです。DevCentralでは、F5の技術と製品によるさまざまな成功事例や、その実現のためのノウハウが共有されています。こうしたアプローチは、ネットワークベンダーとしては異色のものですが、多くの方々に価値があると認識していただき、コミュニティ参加者は順調に伸びています。現在、約8000名のメンバーがおり、毎四半期ごとに20%ずつ増えています。
面白いのは、こうした取り組みについて、いろいろな企業で開発者と話をすると「そういうことを言ってくれる企業を待っていた」「そんなことができるなんて想像もしていなかった」といった反応が返ってくる点です。思うに、これまでのネットワークベンダーはコネクティビティだけに注目し、アプリケーションデリバリー全体のことは見えていなかったのではないでしょうか。
現在では、他のネットワークベンダーもアプリケーションのパフォーマンスやセキュリティについて考慮しはじめています。ただし、われわれにはTMOSがあり、ネットワーク上で配信されるアプリケーションの中で何が起きているのかを理解しており、ネットワークをどう変えていけばいいのかも知っています。われわれはこれを「Application fluent Networking」と呼んでいるのですが、TMOSがあることで、複数のプロトコルやアプリケーションの中身を理解した上で、何をすれば一番良いかを理解できます。その点でユーザーから高く評価されているのでしょう。
2005年におけるアプリケーションデリバリの市場規模は12億ドルといわれていましたが、ガートナーでは今後も1年ごとに25%の割合で伸びていくと予測しています。つまり、われわれは、急速に成長している領域でビジネスを行っているわけです。シスコシステムズ、シトリックス、ノーテルなども、この市場では競合になりますが、われわれの優れた技術に加え、アプリケーションベンダーとのパートナーシップ、DevCentralコミュニティの盛り上がりを合わせて考えると、彼らよりもかなり先行していると言えるでしょう。
--DevCentralは、日本語でも提供されているのでしょうか。
DevCentralは現在、英語のみで提供しているのですが、メンバーの構成を見ると日本が第3位になっています。言葉の問題で、もっと利用者は少ないのではないかと考えていたのですが、うれしく思っています。現在、一部のコンテンツについて日本語化を検討しています。大部分は、われわれのほうで翻訳をして提供するつもりですが、今後は、コミュニティの中で翻訳されるものも増えるのではないでしょうか。