デルは6月20日、事業戦略発表会を開催し、4月3日にデルの代表取締役社長に就任したJim Merritt氏が、同社のビジネス概況や今後の成長に向けた取り組みについて語った。
Merritt氏はまず、デルのグローバルでの業績について、2006年第1四半期(2月〜4月)は売上高が前年同期比6%増の142億ドルとなったこと、製品出荷数が13%増の約1000万台となったこと、過去5年間における出荷数の伸び率は業界の成長率の2倍となる250%を達成したことなどをアピールした。中でも、第1四半期はエンタープライズ事業と米国外の市場が好調で、米国外での売上高が総売上高の44%を占めるまでに成長した。
一方日本では、2006年1月〜3月の出荷台数の成長率は24%と、同社にとって過去最高となると共に、市場の5倍となる成長率を記録した。導入したクライアント数は同社にとって過去最大規模の5万6000台で、すべての製品カテゴリで市場の数倍の伸びを記録した。同じく伸び率の高かったサービス事業においても、デル・プロフェッショナル・サービス(DPS)は前年同期比100%の成長率だった。
今後の取り組みとしてMerritt氏は、「顧客満足度の向上」、「エンタープライズおよびサービス事業の拡大」、「ハイエンドコンシューマーの開拓」の3点を挙げた。
まず顧客満足度の向上に向け、2007年度末までに400名強の営業およびサポート要員を採用する。中でも、宮崎のサポートセンターは現在の300名から500名にまで増員する予定だ。川崎市の本社においても、営業やソリューション提供などの人員を約100名ほど採用する。
エンタープライズおよびサービス事業においては、5月下旬にDell|EMCブランドのストレージ新製品を発表したことに加え、今回の事業戦略発表と同時に第9世代のサーバも発表している。人員強化にはエンタープライズ向け営業やサービス要員も含まれており、DPS事業部の技術本部長 諸原裕二氏によるとDPS部隊も今後1年半で現在の100名から150名まで増強する。
また、EMCやマイクロソフト、日本オラクルといった技術パートナーとの提携関係を強化するとしている。ただし、AMDのOpteronプロセッサについては、「ハイエンドサーバ分野でOpteronを採用するという発表はしたが、具体的な予定はまだわからない」とMerritt氏は述べている。
ハイエンドコンシューマー市場に対しては、個人向けプレミアブランドの「XPS」シリーズで市場を開拓する。既存の「Dimension」や「Inspiron」といったブランドとの差別化を図り、XPS専用のウェブサイトも活用する。
「こうした取り組みにより、デルは今後も成長を続ける」とMerritt氏。意識する競合企業として同氏は「クライアント分野では富士通やNEC、エンタープライズ分野ではIBMやHewlett-Packard」としているが、日本法人の社長として成し遂げたい目標としては、「顧客に焦点を置き、ナンバーワンのカスタマーサービスを提供する企業となることがひとつ。あとひとつは、社員が働きやすく、働きたいと思える企業になることだ」と述べた。