IBMは10月15日〜20日の期間、カリフォルニア州アナハイムにおいて同社のインフォメーションマネージメントへの取り組みを紹介するカンファレンス「IBM Information on Demand」を開催している。今回のカンファレンスでは、大きく3つの取り組みにより、IBMが提唱する「Information on Demand」を加速することを明らかにしている。
同カンファレンスでIBMが発表した取り組みは、以下のとおり。
- 新製品「IBM Information Server」の発表
- Master Informationソリューションの発表
- コンテンツ管理ソリューションの強化
IBM Information Serverは、複雑化したヘテロジニアスなシステム環境に蓄積されてきたデータを、より高い信頼性および価値の情報に変換できる新しい分野のソフトウェアプラットフォーム製品。同製品を使用することで、企業は本質的に異なるシステム間のデータを必要に応じて統合し、信頼できる情報として、特定の人々、アプリケーションおよびプロセスに提供することが可能。企業に高い競争力を提供できるという。
同製品は、次の10製品で構成されている。
- WebSphere Information Analyzer
- WebSphere QualityStage
- WebSphere DataStage
- WebSphere Federation Server
- WebSphere Information Services Director
- WebSphere Metadata Server
- WebSphere Business Glossary
- IBM Rational Data Architect
- WebSphere Replication Server
- WebSphere Data Event Publisher
IBM Information Serverが顧客企業にもたらす価値について、IBMのマーケティング担当バイスプレジデントであるTom Inman氏は、次のように話す。
「部門最適化によるシステム構築により情報がサイロ化している現在、“人々は時間の70%を必要な情報を見つけ出すために費やしている”という調査結果がある。また、“60%以上のCEOが情報を見つけることが仕事ではなく、情報を活用することが重要と思っている”という報告もある。こうした状況を解決するのがIBM Information Serverだ」
同氏はまた、「1996年にアプリケーションサーバが登場し大きな市場が確立された。2006年はインフォメーションサーバ登場の年であり、今後は多くのベンダーが参入してくるだろう。我々は、すでに35社のパートナー企業とこの分野で協力関係を築いており、日々進化を続けている」と話している。
しかし、IBM Information Serverはあくまでもプラットフォームに過ぎない。同製品により情報の統合が可能になっても、それを価値に変えるソリューションが必要になる。そのための取り組みとして発表されたのが、Master Informationソリューションだ。
Master Informationソリューションは、顧客マスターや販売管理マスター、人事マスターなど、企業にとって最も重要なデータといえるマスターデータを、IBM Information Server上で効率的に管理するためのソリューション。マスターデータ管理のための新製品「IBM WebSphere Customer Center 7.0」により実現される。
IBM WebSphere Customer Center 7.0は、すべての製品ラインにまたがった統合されたマスター情報の管理を実現するマスターデータ管理製品ファミリーの新製品。複数のドメインにまたがった拡張されたセマンテックベースの検索により、ビジネスに必要なひとつの真実を見つけ出すことが可能になる。
FileNet買収によるコンテンツ管理の強化
IBMは2006年8月10日、業界向けにフォーカスした高機能なコンテンツ管理ソリューションを提供するFileNetを約16億ドルの現金で買収することを発表している。IBMでは、既存のコンテンツ管理ソリューションと、FileNetのソリューションを統合することで、業界別に最適化されたコンテンツ管理ソリューションを提供するほか、コンテンツ駆動型のビジネスプロセス管理を実現する計画という。
Inman氏は、「E-メールのアーカイブやコンプライアンスソリューションはもちろん、業界別のソリューションをパートナーとともに提供していく。両社の統合により、市場でのシェアは2倍になり、リーダーシップを発揮していく」と話している。