IBMは、全面改良を施したデータベースサーバ「DB2」の発売を7月に予定している。今回のアップグレードの狙いは、ずばり市場シェア第1位のOracleから顧客を奪い取ることにある。
IBMは米国時間6月7日に、「DB2 9」が7月末に発売されることを明らかにするとともに、ウェブ開発フレームワーク「Ruby on Rails」への対応など、これまで明らかにされていなかった新機能の詳細も発表すると見られている。
また、IBMのデータサーバ担当バイスプレジデントのBob Picciano氏は、さらに自己管理機能やサービス指向の開発フレームワークとのより緊密な統合など、DB2 9以降に追加が予定されている機能についても触れた。
DB2 9最大の技術革新は、XMLフォーマットの情報の処理に特化したソフトウェアにある、とPicciano氏は語る。
Picciano氏は、「Viper」という開発コードで呼ばれてきたこのXML対応機能は、XMLを使うアプリケーションの処理速度を大幅に向上させる、と話している。
「Viperだけで68件もの特許を取得しており、その開発には5年以上を要し、750人の開発要員が関わった」とPicciano氏。「これほどの労力と時間をかけて開発したものは、他に例がないし、これからもないだろう」
DB2 9にはストレージメカニズムも備わっており、企業は保存用のハードウェアスペースを40%ほど節減できる、とPicciano氏は付け加えた。
DB2 9は、SAPのパッケージアプリケーションと連携するよう最適化され、Ruby on Railsとも密接に統合されている、とPicciano氏は説明する。
Picciano氏の予測では、IBMはDB2 9の発売によってOracleの顧客を誘い込むとともに、このところ企業顧客の間で評価が高まっているオープンソースという選択肢にも対抗できるようになるという。
市場調査会社のGartnerによると、リレーショナルデータベース分野では--新規ライセンス販売、サポート、メンテナンスを含めて--Oracleが48%を占め、市場シェア第1位だという。
しかも、IBMの主たるライバル企業2社--OracleとMicrosoft--ともに、昨年の成長率がIBMを上回っていたことをGartnerは明らかにしている。
Picciano氏はさらに、IBMが今後のDB2製品での実現を考えている機能の概要についても言及した。同氏によると、将来のIBMのデータベースは「Information On Demand」戦略--つまり、適切なコンテクストにおかれた情報に簡単にアクセスできるようにする構想--を推進していくという。
DB2の今後のバージョンは、IBM製ミドルウェアの「WebSphere」や「Workplace」クライアントにおいて、サービス指向型の開発ツールとより密接に結びつくことになり、さらには、データベースの自己管理機能も追加されるだろう、とPicciano氏は述べた。
「われわれが目指しているのは、複数のアプリケーションにまたがって存在する情報を--アプリケーションごとに切り離されたままにするのでなく--意味論的に統合することによって、秩序のある、関連性が明確な形で提示できるようにすることだ」(Picciano氏)
DB2 9のアドオン機能を追加するとコストは高くなるが、ベースとなるサーバの価格は現バージョンと変わらない。ハイエンドの「DB2 Enterprise」は最小25ユーザーからで1ユーザーあたり938ドル、もしくは1プロセッサあたり3万6400ドル。ローエンドの「DB2 Express」は1ユーザーあたり165ドル、もしくは1プロセッサあたり4874ドル。「DB2 Workgroup」は1ユーザーあたり350ドル、もしくは1プロセッサあたり1万ドルとなっている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ