「ここ数年で、セキュリティ市場とシステム管理市場が統合する動きが見られる。この2つの市場は、今後完全に一体化するだろう」--こう話すのは、LANDesk Softwareのエンジニアリング担当バイスプレジデント Thomas Davis氏だ。同氏は10月31日、LANDesk主催のイベント「Interchange2006」で基調講演を行い、こうした市場動向を見据えた同社製品の方向性を語った。
LANDeskは、2002年にIntelから独立したソフトウェア企業だが、当初セキュリティ分野の製品は提供していなかった。同社がセキュリティ管理のスイート製品を発表したのは2004年11月。この分野は、「LANDeskの製品の中でも一番成長した」とDavis氏は述べている。
Davis氏は、「IT運用部門の課題を調査したところ、セキュリティ担当者が行う監査などの最終責任を負うのはIT管理部門となっていることがわかった。そこで、監査機能をIT運用管理機能の中に組み込むことが重要だと感じた」と話す。また、世の中にウイルスやスパイウェアなどセキュリティを脅かすマルウェアが蔓延していること、脆弱性が発見されてから攻撃が行われる時間が短縮されていることなどからも、「セキュリティ製品のニーズは高まる一方」としている。
さらに、モバイル製品におけるセキュリティも重視されるようになる中、LANDeskでは携帯電話をどこかに置き忘れた際、遠隔操作で携帯電話を工場出荷時の状態にリセットするモバイル管理機能を日本語化し、2007年末には提供開始する予定だ。
セキュリティ管理のほかにLANDeskが注力するのは、システム管理分野だ。中でもDavis氏は、新たに追加されたソフトウェアライセンス監視機能について紹介した。「どのアプリケーションがどのマシンにインストールされたか自動的に検知する。多くの顧客は、LANDeskの製品の中でこの機能だけでも元が取れると話すほどだ」(Davis氏)。また、サーバのプロビジョニング機能を自動化し、RAID作業やOS、アプリケーションを展開する前後など、さまざまなケースにおけるプロビジョニングをテンプレート化したものを2007年末までに提供するとしている。
LANDeskでは、ITサービス管理分野でも積極的に製品を展開している。Davis氏は、「多くの企業は、システム管理部門やセキュリティ管理部門、ヘルプデスクなど、企業の中に混在するIT関連部門の情報をまとめ、ビジネスゴールとの整合性を取りたいと考えているはずだ。IT管理は非常に重要なことだが、ゴールではない。企業として一番大切なことはビジネスを成功させることなのだ」として、ITサービス管理はなるべく自動化すべきだとした。
この分野における一例としてDavis氏が紹介したのは、パッチ管理だ。「脆弱性が発覚し、パッチをあてる必要がある場合、そのパッチがIT環境にどのような影響を及ぼすかわからないままパッチをあてることはない。許可を得て、一部の環境でテストし、その結果問題がなければテストマシンを増やし、全体の承諾を得てパッチをあてるといったプロセスが存在する。LANDeskでは、このプロセスをすべて自動化するツールを提供する。パッチの許可を与えた人間が誰であるのかといった履歴も残るようになっており、検証も自動的に行われる」(Davis氏)
こうした機能は、LANDeskがこの1年間で提供開始したか、年末までに提供開始する予定の機能だ。このように次々と新機能を提供することで「われわれはイノベーションを続ける」とDavis氏。同社が注力するセキュリティ管理、システム管理、ITサービス管理の3分野で「これからもリーダーでありたい」とDavis氏は述べた。