Novellの控えめな最高経営責任者(CEO)Ron Hovsepian氏とMicrosoftの荒っぽいCEO、Steve Ballmer氏--ぱっと見には、ちぐはぐな組み合わせに思えるかもしれない。
しかし、2人のCEOは当面--少なくともしばらくの間は--一心同体で事業に取り組む。米国時間11月2日、MicrosoftとNovellはマーケティングと特許の分野で包括的に提携することを発表し、これまで分断されてきたWindowsとLinuxの相互運用性を強化していくと述べた。
このニュースは業界を驚かせた(提携交渉は4月に始まった)。MicrosoftとLinuxが手を組むというのは、信じがたいことだったからだ。もっとも、この提携によって両社のライバル関係が解消されるわけではない。今回の提携は顧客の要望に応えるためだと両社は言う。両社の顧客の間では、煩雑な技術作業や知的所有権侵害の訴訟リスクにさらされることなく、WindowsとLinuxを併用したいというニーズが高まっている。
Ballmer氏とHovsepian氏はサンフランシスコのホテルで記者会見を行い、その直後にCNET News.comのインタビューに応じた。本編はインタビューをまとめた記事の前編である。
--今回の提携はどのくらい親密なものになるのでしょうか。
Ballmer:WindowsとUNIXの関係についてはさまざまな見方があると思いますが、少なくとも現在は共通のフレームワークを受け入れることができるようになっています。それは「競争のフレームワーク」です。WindowsはUNIXと競合し、WindowsはLinuxと競合しています。Linuxは多くのIntelマシンに採用されており、Windowsとは競合関係にあります。競争こそ、両社が共有する最大のテーマだと言えるかもしれません。
相互運用性のフレームワークを構築するためには、まず知的所有権(IP)のフレームワークを整備する必要があります。GNU GPL(General Public License)に基づいてライセンスされている知的財産や、所有者(交渉相手)のいない知的財産に適用されるフレームワークです。ここには独特の複雑さがあります。そのため、相互運用性を確保するためには何らかのIPフレームワークが必要でした。
--なぜWindowsとLinuxの相互運用性を高めようと考えたのですか。
Ballmer:顧客の要望があったからです。相互運用性を確保できれば、Novellの顧客を獲得しやすくなります。Novellも同じことを考えていました。相互運用性は顧客のためであると同時に、われわれの市場シェアを拡大する手段でもあります。
GPLは非常にユニークなライセンスです。知的財産の創作者に代わって交渉できる人がいません。われわれは顧客の意見を聞き、知的財産に関する問題点を議論してきました。顧客の要望は常に、(Linuxの)ディストリビューターと協力して問題を解決してほしいというものでした。
顧客は自分たちのために、プロプライエタリ製品とオープンソース製品の橋渡しをしてくれる人を求めていました。頭を絞りましたが、いい案は浮かびませんでした。その頃、RonがNovellのCEOに就任しました。これが大きな転機となりました。現在は知的財産を利用して、相互運用性を確保しています。競争環境が次の段階に移行したと言ってもいいかもしれません。競争がなくなるわけではありませんが、有利なオファーを提供しているのはどちらかという従来の客観的な基準に基づいて選択を下すことがでるようになりました。
--今回の提携はMicrosoftがオープンソースを全面的に受け入れたことを意味しているのでしょうか。
Ballmer:私が言いたいのは、われわれは今後、さまざまな製品と競合することになるということです。その中には営利企業の製品もあれば、オープンソースコミュニティの製品もあります。オープンソースコミュニティはWindows環境でもすばらしい革新を起こしてきました。これには私もさまざまな形で感銘を受けています。しかし、WindowsとLinuxがライバル関係にあることに変わりはありません。