日本ヒューレット・パッカード(HP)は1月18日、中小規模企業向けのストレージシステム「HP StorageWorks All-in-One Storage System(AiO)」を発表した。1月下旬より出荷開始する。
これまでHPでは、オンラインストレージ製品のラインアップとして、可用性が高くデータセンター統合などに最適なXPファミリ、仮想化機能を備えストレージ統合に最適なEnterprise Virtual Array(EVA)ファミリ、コスト効果の高いModular Smart Array(MSA)ファミリという3つの柱を抱えていた。ここにAiOファミリが加わることで、「より低価格で誰でも使える統合ストレージを提供する」と、日本HP エンタープライズストレージ・サーバ統括本部 ストレージ・ワークス製品本部 プロダクトマーケティング部 担当マネージャの瀧澤一彦氏は説明する。

日本HP エンタープライズストレージ・サーバ統括本部 ストレージ・ワークス製品本部 プロダクトマーケティング部 部長の大内剛氏は、2006年5月のガートナーの調査から、SANやiSCSI等のネットワークストレージを導入済みまたは3年以内に導入予定とした企業がそれぞれ16.4%、4.5%と低いことを指摘し、「多くの企業ではネットワークストレージのメリットを生かしていない」と話す。特に企業規模別で中小規模企業における導入率が低く、大内氏はその理由として、ディスクストレージの他にSANスイッチやホストバスアダプタなどが必要で投資負担が大きいこと、ストレージ管理の専門知識を持つIT管理者が中小企業には少ないことなどを挙げる。
こうした問題を解決するために提供するのがAiOだ。大内氏は、「AiOはデータの移行や拡張、バックアップの設定が管理画面で簡単に操作できるため、専門の管理者がいない中小企業でもストレージの運用が可能だ」とアピールする。
AiOでは、SANストレージ、ファイル共有、バックアップ機能を1台に統合しているため、導入負担が軽減できるほか、Microsoft SQL ServerやExchange Serverなどアプリケーションデータの移行が、ウィザード形式により10クリック以内の作業で実行できる。データ管理のすべては単一のユーザーインターフェースで実現しているため、「直感的で使い勝手がよい」と瀧澤氏。
AiOの価格は、内蔵ストレージにSATAハードディスク1.5テラバイトを備えたモデルが78万円(税抜き、税込みでは81万9000円)で、SASハードディスク876Gバイトを備えたモデルが98万円(税抜き、税込みでは102万9000円)となっている。瀧澤氏は、「78万円のSATAモデルをこれまでのストレージシステムで実現するには、スナップショット機能を持ったSANストレージがEVAスターターキットで386万円、ProLiant DL380 G5 Storage Server SANモデルが98万円、バックアップソフトウェアのDataProtector Expressが11万円、その他別々のユーザーインターフェースで管理するための作り込みが必要となり、500万円は必要だ」として、AiOの価格優位性を説明した。
HPでは、1月10日にx86サーバ事業において、中小企業に向けた施策を強化すると発表したばかり。サーバのみならずストレージでも中小企業向けの製品を強化することで、この市場に積極的に働きかけていく考えだ。