5.SMEを起用する
SMEとは、「Subject Matter Expert」の略で、現場で実際にアプリケーションを使っている現場業務の従事者のことだ。
ラボ環境の構築、パイロットユーザーの任命、および教育のメンバーには、このSMEを加えることが望ましい。実際に現場で作業をしているエンドユーザーでなければ、システムが正常に動作しているかどうかの判別できない場合が多いからだ。
新しいOSを導入した環境下では、一部のアプリケーションの動作が変わってしまうことがある。毎日PCを使っている社員であっても、特定の作業しかしていなければ、クリックするボタンの位置が変わっただけで、混乱してしまう可能性がある。SMEには、このような変更点の教育を担当してもらう。
以下は、実際の移行に向けての作業手順となる。
6.アプリケーションインベントリを作成する
インベントリとは、現在の職場のPCにインストールされているアプリケーションの一覧のことである。
デスクトップOSの移行は、今まで使っていたソフトウェアを見直すための絶好の機会となる。PCのハードウェアは変わらなくても、そこにインストールされているソフトウェアの変化は想像以上に激しい。
使われなくなったフリーウェアがインストールされたまま、忘れられていないだろうか。また、長期間使い続けているアプリケーションソフトのサポートは終了していないだろうか。ファイル交換ソフトなどが、知らないまま動き続けていることは?
今後、あらゆる企業が対応すべきIT内部統制の第一歩としても、現在、社内のPCにインストールされているアプリケーションのインベントリ一覧を作成し、ソフトウェア環境の棚卸しをすべきだろう。
7.アプリケーションの重要度を評価する
インベントリ一覧を作成したら、業務で使うアプリケーションの評価を行う。会社の方針として、現在インストールされているアプリケーションを使い続けるのか、利用をやめるのかを、はっきり決めておこう。
その際、業務アプリケーションをジャンルごとに分類して、それぞれに重要度を評価すると作業を進めやすい。下表は、ジャンル分けの一例だ。
コアアプリケーション | Word、Excelなど、全社で使う標準的なアプリケーション |
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業務アプリケーション | CAD、経理用のソフトウェアなど特定の部署で使うアプリケーション |
管理用アプリケーション | バックアップ、集中管理アプリケーションなど |
カスタムアプリケーション | 社内で作ったものなど、市場で入手できないアプリケーション |
さらに、各アプリケーションごとの使用頻度を「毎日」「毎週」「毎月」「数カ月に1度」「ごくたまに」といった形で分類しておくと、評価の基準を明確にするのに役立つ。
重要度の評価が済んだら、重要度の低いアプリケーションは、代替を考慮するか、思い切って破棄してしまおう。使うことに決めたアプリケーションについてのみ、互換性の調査を実施し、新環境での利用に不都合がないかを確認しておく。