特定非営利活動法人であるASPインダストリ・コンソーシアム・ジャパン(ASPIC Japan)は2月9日、日本国内で提供されているASPサービスの中から優秀なサービスを選定する「ASP・ITアウトソーシングアワード2006」の表彰式を行った。
ASPIC Japanは1999年に設立され、「特定および不特定のユーザーにネットワークを通じてシステム機能を提供する」という広義のASP市場の活性化を目的とした活動を行っている。
「ASP・ITアウトソーシングアワード2006」は、その活動の一環として今年初めて開催されたものだ。エントリーのあった124のサービスの中から、グランプリをはじめ、ベストテクノロジー賞、ベストイノベーション賞などの各賞を選定し、サービス提供事業者の意識向上やユーザーによるサービス選定の支援を目的としている。
エントリーした124のサービスのうち、書類選考などを経て受賞ノミネートに残ったサービスは14。各賞の選定にあたっては、ベンチャーキャピタル、シンクタンク、IT系メディアなどに属する有識者による委員会を組織し、それぞれのサービスについて、複数の項目に対するポイント評価を行ったという。
審査の結果、グランプリを獲得したのはセールスフォース・ドットコムの「Salesforce」となった。選定委員会の委員長を務めたMM総研の中島洋氏は、「システムを使っている人々によって、システムそのものが良くなっていく」という、いわゆる「Web 2.0」的な企業としての先進性を指摘。加えて、創業当初から社会貢献を強く意識した経営方針を取っている点などを受賞の理由として挙げた。
同社の社長である宇陀栄次氏は、出張のため授賞式には出席できなかったため、ビデオメッセージを寄せ、「ドットコム企業やCRMが失敗だったと言われた時期から数年で、セールスフォースは“SaaS”という新たな市場を創造する企業として認められるようになった。今回の受賞は嬉しい」と述べた。
そのほか、ベストベンダー賞には自動配車・配送計画最適化サービス「e-SmarTrack」を提供するイー・トラック、ベストイノベーション賞には「FOODS Info Mart」を提供するインフォマート、ベストテクノロジー賞には「ドリコムブログオフィス」を提供するドリコムが、それぞれ選ばれた。その他、各賞の受賞サービスと企業については下表を参照のこと。
各賞名 | 会社名 | サービス名 |
---|---|---|
グランプリ | セールスフォース・ドットコム | Salesforce |
ベストベンダー賞 | イー・トラック | 自動配車・配送計画最適化サービス/e-SmarTrack |
ベストイノベーション賞 | インフォマート | FOODS Info Mart |
ベストテクノロジー賞 | ドリコム | ドリコムブログオフィス |
ASP活用賞 | ビジネスオンライン | ネットde会計 |
委員会特別賞 | リスクモンスター | 与信管理ASPサービス「e-与信ナビ」「e-管理ファイル」 |
委員長特別賞 | トライコーン | データベース連動型メール配信システムASP「アウトバーン」 |
ノミネート賞 | アットマーク・ベンチャー株式会社 | オンデマンドASP |
ジェービーピー | J-MOTTOグループウェア | |
シナジー | バイトマスター | |
新日鉄ソリューションズ | nsxpres.com | |
デジジャパン | アット・ラベル(@LABEL) | |
TDCソフトウェアエンジニアリング | ハンディトラスト | |
富士通ビジネスシステム | WebOffice |
ASPIC Japan常務理事の津田邦和氏は、所感として、今回のアワードに応募した124のサービスの中に、既に黒字化しているものが多かった点に言及。また、提供されているサービスの業種も多岐にわたっていた点に触れ、今回各賞を受賞した14のサービスも含めて「今後、これらのASPサービスが連携、つまりマッシュアップしていく動きの中で、新たな価値が生まれていく予感がする」と述べ、授賞式を締めくくった。