シンクライアントを越えた「ウルトラ・シンクライアント」--サンのコンセプトを形にしたSun Ray - (page 3)

宍戸周夫(テラメディア)

2007-04-23 21:18

 実際に、「シンクライアント」という言葉が使われない米国では、Sun Rayを表現するに当たって「Virtual Display Client」という言葉を使っている。つまり、仮想端末のソリューションという扱いだ。日本においては、「シンクライアント」という言葉でネット検索されるため、あえてこの言葉を使っているのだという。

 「つまり、デスクトップだけでなくPDAでも携帯でも、サーバの処理結果を出力して表示できるクライアントとして、Sun Rayは位置づけられているのです。そのひとつとしてデスクトップがあるので、米国では単純にシンクライアントとは呼んでいません」(寺澤氏)

 デスクトップ端末以外の広がりについても、すでに取り組みが進んでいる。Sun Rayはサーバ側のソリューションとしてマイクロソフトのRDP(Remote Display Protocol)の機能を実装している。マイクロソフトのサーバにターミナルサービスを立ち上げている場合、Sun Rayのサーバがそのサービスのクライアントになる。つまり、Windows上で動くアプリケーションの画面をSun Rayのサーバが受け取り、Sun Rayのクライアントに送ることができるわけだ。

 この機能によって、Sun Rayの画面の中にWindowsの画面をそのまま表示したり、SolarisのアプリケーションとWindowsのアプリケーションの間でコピー&ペーストしたりといったことができる。この機能は「Sun Ray Connectors for Windows」と呼ばれ、マイクロソフトのアプリケーションとの相互互換性ソリューションとして用意されている。

 さらにサンは2006年に発表したSun Ray 2において、その前年に買収したTarantellaのシステム管理ソフト「Secure Global Desktop Software」をリリースした。これも同じように、Windowsのアプリケーションを特定のクライアントのディスプレイに表示させることできる。サーバ側のアプリケーションとクライアント側のアプリケーションが、いわばたすきがけの構造になっていて、メインフレーム、UNIX、Windows、Linuxなどで動作するアプリケーションを、それぞれ別のOS環境に対して表示させることができる。

寺澤慎祐氏 サン・マイクロシステムズ、政策推進営業本部インダストリー営業開発部、統括部長の寺澤慎祐氏

 「Secure Global Desktop Softwareを間に入れると、さまざまなアプリケーション環境をいろいろなクライアント環境で利用できるようになるのです。その意味で、クライアントはWindowsでもMacでもLinuxでも、さらに携帯でもよいということになります。携帯の上でメインフレームのアプリケーションを使うということもできるのです」(寺澤氏)

 この技術を利用すれば、ユーザーはあらゆる環境に対して、1台の端末からアクセスできる。これを同社はVoIPならぬ「DoIP」と呼んでいる。「Display over IP」の意味である。

 下道氏は「今は、特定のクライアントに固執する時代ではない」と言う。実際に、コンシューマーの市場においては、PCよりも携帯電話がポピュラーなネットワーククライアントになりつつある。携帯のテンキーから猛烈なスピードで文字を入力する若者がいる。

 「彼らにとっては、端末が携帯だろうが、何だろうが関係ないのです。サービスやコンテンツが利用できる環境があれば、それでよいのです」(下道氏)

 Sun Rayのテクノロジは、デスクトップ領域にパラダイムシフトを起こす可能性がある。「The Network is the Computer」という理念を、高い次元で実現した新時代を演出するパワーが秘められているようだ。

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