ソニーが「PLAYSTATION 3」(PS3)を分散コンピューティングプロジェクトFolding@homeに対応させるアップデートをリリースしてから1カ月になる。スタンフォード大学によると、これに対するユーザーの反応は「驚異的」であるという。
PS3が同プロジェクトに対応した2007年3月以降、25万人以上のPS3ユーザーが登録し、ネットワークの演算能力が倍以上に跳ね上がった。
分散コンピューティングは、プロセッサの余力を利用して演算処理を行う手法である。Folding@homeは、PC、Mac、PS3の余剰演算能力を利用して、アルツハイマー病、パーキンソン病、嚢胞性線維症、各種ガンなどの原因を調査している。
多くのPCユーザーがアイドル時のCPU処理能力を提供して地球外の知的生命体探査を助けているSETI@home(Search for ExtraTerrestrial Intelligence:地球外知性探査)プロジェクトと同様に、Folding@homeもプロジェクト開始以来一貫して、世界中のPCユーザーによる貢献に頼ってきた。
米国時間4月26日にFolding@homeのアップデートがリリースされ「計算速度の向上、ユーザーの地理的な所在に関する表示の充実、文字数の多い提供者名および提供チーム名への対応」などが追加される。バージョン1.1へのアップデートは、Folding@homeアプリケーションの再起動により自動でダウンロード可能である。
スタンフォード大学で化学を専攻するFolding@homeプロジェクトのリーダーVijay Pande教授は「PS3による成果は驚くべきもので、予想をはるかに超えており、研究を大きく前進させることができた。PS3のおかげで、通常なら計算に1年以上かかるシミュレーションが数週間で完了した。現在行っているアルツハイマー病などの研究に引き続き、別のシミュレーション実施を急いでいる」と述べた。
ソニーによると、医学、社会科学、環境調査などの分野で、より多様な分散コンピューティングプロジェクトをサポートする計画であるという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ