日本エリクソンは6月12日、IPTVサービスの普及を目的としたエンド・ツー・エンドの仕様を策定する業界団体である「オープンIPTVフォーラム」の運営委員会議長を務めるEricsonの戦略製品担当マネジャー、Yun Chao Hu(ユンチャオ・フー)氏の来日に伴い、オープンIPTVフォーラムの現状と今後の取り組みを紹介するプレス/アナリスト向けの説明会を開催した。
オープンIPTVフォーラムは、コンテンツやサービスの提供元から端末までのIPTVシステム全体に関わる接続インターフェース仕様を策定することを目的に、2006年3月19日に設立された業界団体。Ericssonをはじめ、AT&T、France Telecom、Panasonic、Philips、Samsung、Siemens Networks、Sony、Telecom Italiaの9社が参加している。
同フォーラムでは、オープンなインターネット環境や管理されたネットワーク環境を活用することで、パーソナライズされた双方向の統合されたコミュニケーションサービスを付加価値と共に顧客に提供。テクノロジの違いを意識することなく、サードパーティが提供するさまざまなサービスを統合できる仕組みを提供する。
こうした取り組みにより同フォーラムでは、IPTVとマルチメディアサービスのより一層の融合を目指している。
具体的には、Open IPTV仕様のアーキテクチャと要件定義を2007年9月までに策定し、2008年始めにはOpen IPTV仕様のリリース1を公開する予定。また、Open IPTVにおける相互運用性を確立するための仕様を2007年10月に公開し、2008年よりOpen IPTV認定制度をスタートする計画という。
Hu氏は、「融合されたIPTVは、利用者に革新的なエクスペリエンス(経験)を提供できる。オープンな標準に基づいたソリューションは、新しい市場を成長させていくために最も優れた手法だ。標準化により、利用者の複雑性を排除し、コストを削減することができる。また、デバイスの能力と市場の拡大を促進することができる」と話している。
オープンIPTVフォーラムにおけるEricsonの取り組みについて、日本エリクソンの北東アジア担当最高技術責任者(CTO)、藤岡雅宣氏は、「オープンIPTVフォーラムの目指す方向性と我々の方向性は同じもの。IPネットワークを通じて、双方向でパーソナライズされたテレビ放送を、一般のテレビ放送と同じ品質で提供することを目指している」と話す。
同社は、今後のIPTVにおけるロードマップとして、まず既存の技術を活用して双方向性を実現し、次のステップでIMS(IP Multimedia Subsystem)を実装したコンバージェンス(融合)を実現。さらにオープンなIPTV標準仕様に基づいて、いつでも、どこでも、どんなデバイスでもIPTVサービスを活用できるソリューションを実現する。
藤岡氏は、「IPTV標準化を主導し、技術的な優位性を確立することで、最強のIPTVソリューションを提供することができる。さらにIMSの実装や、PC、情報家電、携帯電話という3つのデバイスの融合により、将来性の高いIPTVソリューションを確立できる」と話している。