インターレックスは、販売店の店頭で、パソコンソフトを利用する「権利」だけを販売、実際のソフトはインターネットを介して提供する新たなソフトウェア流通形式「カード型ソフトウェア・ライセンス販売 L.A.C(らっくん)サービス」を本格的に開始する。インターネットのブロードバンド化が進むなか、効率的なソフトの供給形式を模索しているベンダー、一般販売店に対し、ひとつの解決策を提案するとともに、低価格化など、エンドユーザーにもメリット与える可能性のあるサービスとして注目される。
このサービスでは、ユーザーは、販売店に置かれる「L.A.C(License Agreement Card)カード」と呼ばれるテレホンカード大のカードを購入する。このカードの裏面には、「L.A.Cコード」と呼ばれるIDが記されている。ソフトウェア自体は専用のダウンロードサイトから入手して、パソコンにインストールすることができる。この時点で「L.A.Cコード」を入力することで、ソフトを使用できるようになる。
IDがなければ使用できないことから、ソフトはいつでも、どこからでもダウンロードが可能で、IDさえあればユーザーは出先などでも自分の購入したソフトを使用できる。PCを買い換えたり、OSを入れ替える場合でも、容易にソフトを移動できるほか、CDなどのメディアを保管しておく必要がなく、紛失や損傷などの懸念もなくなる。
ソフトの内容は、ビジネスアプリケーションからゲームまで、当初は合わせて64タイトルが用意され、ビジネスアプリケーションは4000円から、ゲームは1000円からといった値付けがされている。通常のパッケージに比べ10%から数10%程度安価な設定だ。中には、パッケージの4分の1程度の価格になる製品もある。インターチャネル・ホロン、日本ファルコム、工画堂スタジオ、ニッポンクリエイト、呉ソフトウェア工房など、ソフトメーカーをはじめ、50社以上がこのサービスに参加する。インターレックスでは今後、常時、100タイトルの品ぞろえを目指す意向だ。

このサービスでは、販売店側は、パッケージ(箱)を店に陳列しておくことが不要になるため、売り場を効率的に活用することが可能になる。 キオスク端末などを設置することもなく、ただ、カードを展示するラックのような器具があればよい。さらに、展示しておくのは実際のカードではなく、サンプルであるため、万引きの心配もないという。
ソフトメーカーや流通会社にとっては、パッケージ製造費や在庫、物流にかかるコストを大幅に軽減することが可能となり、同社によれば「利益を確保しながら、より競争力のある販売価格を設定できる」という。さらに、このシステムでは同社が開発したDRM(Digital Rights Management:デジタル著作権管理)技術「Buddy」を活用して、ソフトウェアの使用権を確実に管理できるため、ライセンス管理が徹底される。販売量や在庫の管理精度を向上させ、正規ユーザのー正確な把握が可能になるという。
近年、パソコン販売店では、ソフトの売り場面積が縮小する傾向にある。販売店側がハード中心に向かっているとともに、「店頭でソフトの説明ができるような余力のあるソフトベンダーが限られ、ソフトの説明がなかなか行われないことにより、売り場にリピーターが来なくなり、結局、売り場が小さくなる」(同社)、といった事情が背景にある。インターネットの接続環境がブロードバンド化してきたことによりダウンロード販売の窓口が広がったものの、著作権とライセンス管理の点では課題もあった。「L.A.Cサービス」はこれらに対するひとつの回答を提示している。