「バーチャルアプライアンスは、ソフトウェアの新しい販売方法となる。これは現在非常に注目されており、アプライアンスのフォーマットの標準化の動きも進んでいる」。VMware プロダクトマネジメント兼マーケットデベロップメント ディレクターのSrinivas Krishnamurti氏は9月12日、米サンフランシスコにて開催中の仮想化イベント「VMworld 2007」のプレス向けセッションにて、バーチャルアプライアンスについて語った。
「アプライアンス」という名前がついているものの、この場合のアプライアンスはハードウェアではない。仮想的なアプライアンスという名前が示す通り、仮想インフラの上に搭載される仮想マシンの環境をパッケージ化したソフトウェアと言っていいだろう。
バーチャルアプライアンスには、OSや必要なソフトウェアがすでに仮想マシン上に「インストール」されており、設定も済ませてある。つまり、必要な機能が搭載されたハードウェアアプライアンスを購入するのと同じ感覚で購入できる。ユーザーは、「VMware ESX Server」などが搭載された仮想インフラの上にバーチャルアプライアンスをコピーするだけで、すぐに仮想マシンが利用できるのだ。
「仮想インフラがベースとなっているため、ハードウェアの違いに対するOSやソフトウェアの設定は必要がない。ISVはすべての環境でテストを行う必要がなくなるのだ。ユーザーはバーチャルアプライアンスをダウンロードして仮想インフラにコピーすれば、すぐにソフトウェアを使うことができる。Microsoft Officeが搭載されたWindowsマシンを購入するのと似ている」(Krishnamurti氏)
すでに、BEA SystemsやBusiness Objects、IBMなどがバーチャルアプライアンス製品を提供している。また、VMwareではバーチャルアプライアンスを提供する場として「Virtual Appliance Marketplace」を2006年に開設しており、ここでさまざまなバーチャルアプライアンスが入手できる。
これまでバーチャルアプライアンスを提供するISVは、VMwareの仮想インフラに対応したアプライアンスのみ用意していたが、これを例えばXenなど他の仮想プラットフォーム上でも動作させるべく標準化に向けた動きもある。それが、11日にシステム管理の標準化団体Distributed Management Task Force(DMTF)が発表した「Open Virtual Machine Format(OVF)」と呼ばれるフォーマットだ(関連記事)。
VMwareでは今後、VMwareの仮想インフラ向けに作られたバーチャルアプライアンスを、OVF対応に変換できるツールを提供する予定だ。