前回は、ハイパーコネクティビティの時代を前に、統合管理と仮想化を急ぐ必要があると述べた。もちろん、ITインフラの統合は、仮想化技術によって進む。そこで今回は、仮想化(バーチャライゼーション)について考えよう。
おそらく仮想化といっても、すぐにピンとこない方も多いことだろう。そこで、少し身近な世界の中でマッチする仮想化的な例を出してみよう。
仮想化の世界をイメージする時、私はつい何人もの女性と同時につき合うプレイボーイの姿を想像してしまう。リソースは彼1人で、本来女性とは1対1のつき合いであるべきなのだが、彼はすばらしいリソース管理機能を持っており、複数の女性に対して自分のリソースをうまく配分し、1対多のつき合いを可能にしている。それぞれの恋愛の場をうまく運んでいくには、きっと、気持ちの持ち方をうまく切り替えて、それぞれの場(彼女?)に合わせた気持ちで望まなくてはならないだろう。要は、心の切り替えをうまくして、それぞれの恋愛の世界に入っていくことができる、そんなちょっと器用な(?)考え方を仮想化的な考え方と言うこともできるのではないだろうか。
このイメージにどこまで同意してくれる方がいるのか、非常に疑問に思いつつ、今回も本題へ入ることにしよう。
ITインフラの統合は仮想化で進む
私たちは、ハイパーコネクティビティの時代を前に、統合管理と仮想化を急ぐ必要がある。ITインフラの統合は仮想化技術によって進むため、仮想化はいま旬なテクノロジーの1つだろう。例えば、ネットワークプロトコルの第2層に位置するL2スイッチがいまや標準的に備えているVLANは、伝統的な仮想化技術だ。第3層には、バーチャルルータが存在する。コンシューマーには耳慣れないかも知れないが、通信事業者やサービスプロバイダーではバーチャルルータが数多く使われている。
ちなみに、普通のルータは、1つの箱の中に1つのルーティングテーブルを持つ。バーチャルルータは1つの箱の中に仮想的に独立した複数のルーティングテーブルを持つ。つまり、バーチャルルータとは1つの箱で数十台、数百台のルータを収容できる製品だ。
そして今では、さらに上の第4層から第7層に位置するアプリケーション層の仮想化が始まっている。企業ネットワークに視線を移せば、仮想化技術はデータセンターにおいて盛んに活用されており、その重要性が見直されている。