日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は5月22日、同社のx86サーバ「HP ProLiant」およびパーソナルワークステーション「HP Workstation」において、クアッドコアAMD Opteronプロセッサ搭載モデルを発表した。
HPとAMDの協業は、1996年にコンシューマー向けデスクトップPCの分野から始まった。2004年にはサーバ分野でも協業し、同4月にAMD Opteron搭載のProLiantサーバが発表された。国内のx86サーバ市場において日本HPのシェアは約24%だが、日本HP エンタープライズ ストレージ・サーバ事業統括 執行役員の松本芳武氏は、AMD搭載機の出荷台数の伸びがシェアの伸びよりも急激に成長しているグラフを示し、「AMD搭載機がHPのシェア向上に大きく貢献している」と述べた。
AMDのクアッドコアプロセッサを搭載した新製品は、ProLiantのラックマウント型サーバが5製品、ブレード型サーバが2製品、ワークステーションが1製品だ。ProLiantでは、ラックマウント型で8基のプロセッサを搭載できる8Pサーバ「HP ProLiant DL785 Generation 5」を新たなシリーズとして投入し、新市場の開拓も目指す。DL785の価格は225万7500円(税込み)からで、6月下旬に出荷開始する。
AMD搭載機は、特にハイパフォーマンスコンピューティングの分野でニーズが高く、この分野ではLinux OSが採用されているケースが多いことから、日本HPではProLiantのAMD搭載機に対する新施策として、HP Linuxコンピテンシー・センターを強化し、同センター内に「Linux + AMDコンピテンスセンタ」を開設する。日本HP エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 ISSビジネス本部 本部長の橘一徳氏は、「各商用Linuxディストリビューションの検証を進め、技術情報を開示していく」と、同センターの役割について説明した。
発表会場には、日本AMD 取締役 マーケティング本部 本部長の吉沢俊介氏も登場し、「AMDのダイレクトコネクト・アーキテクチャは、最初からサーバに要求されるニーズを満たしたアーキテクチャだった」とアピールした。また、仮想化機能についても、これまでソフトウェアで実行していたメモリアドレスの変換をハードが担うことになる「RVI(Rapid Virtualization Indexing)」を実装していると強調し、I/Oの仮想化機能となる「IOMMU(Input/Output Memory Management Unit)」も2009年には登場予定だと述べた。
日本HPでは、国内のx86サーバのシェア30%獲得を目標としているが、松本氏は「30%を獲得する頃には、AMDの貢献度は今の倍くらいになっているだろう」と述べ、今後もAMD搭載機の出荷台数が成長する可能性に大きな期待を見せた。