既存のデータセンターであっても改修を行うことで、最初からグリーン化を念頭に構築された新しいデータセンターと同等のエネルギー効率を達成できることが、Accentureが米国時 間6月26日に発表した初期報告から明らかになった。AccentureはSilicon Valley Leadership Groupの支援のもとでさまざまな事例を分析し、このたびの報告をまとめた。
適切な省エネルギー対策が「広い範囲で」実施されれば、800万台の自動車が道路を走行しなくなるのと同じだけの二酸化炭素排出削減効果があるだろうと、調査チームは述べている。
米環境保護庁(Environmental Protection Agency:EPA)は、2011年には、データセンターでのエネルギー消費量は現在の2倍となり、米国内での電気コストは74億米ドルに達し、10基の発電所を新設しなければならないほどの電力量が必要になると予測する。
「新しいデータセンターではないからといって、何の対策も講じなくていいということではない」と指摘するのは、Accenture Technology Labsでシニアリサーチャーを務めるTeresa Tung氏だ。Accenture Technology Labsは、ローレンスバークレイ国立研究所(Lawrence Berkeley National Laboratory)と、Yahoo、Sun Microsystems、OracleをはじめとするIT業界の主要企業が共同で行った研究の結果をまとめている。
オンライン活動はクラウドの中で行われているかもしれないが、Sun Microsystemsのエンジニアリング部門バイスプレジデントであるSubodh Bapat氏の言葉を借りれば、電子メールの送信や動画のダウンロードのたびに「ほんの小さな綿毛ほどの二酸化炭素」が、気が付かないどこかから排出されていることになる。
Silicon Valley Leadership Groupでデータセンター効率化部会の議長を務めるRay Pfeifer氏は、Sun Microsystemsの本社で行われたSilicon Valley Leadership Groupの総会で、調査結果の報告を行い、IT業界で予想される電力消費量の伸びは、他のどの産業の伸びをも上回っていると述べている。
IT業界の主要企業の多くは、上昇を続けるエネルギーコストや、施行が予想されているカリフォルニア州での二酸化炭素排出のキャップ制(排出枠の上限規定)が、自分たちの業界に影響を及ぼすことを懸念している。
自分たちのデータセンターの詳細情報は企業秘密であると考える企業もあるが、業界全体の二酸化炭素排出量の削減に取り組むためにも、互いに情報を出し合うべきだと考える企業も多い。その具体例のひとつが、EPAが2007年に米国連邦議会に提案したデータセンターの効率化に関する推奨事項(PDF)を実践するための、共同実証プロジェクトである。