過去数年にわたり、四半期成長率15%と連続して成長してきたPC業界が、2008年末壁にぶつかった。
IDCは米国時間1月14日、「Worldwide Quarterly PC Tracker」レポートで、2008年第4四半期における世界全体のPC出荷台数は0.4%減の7730万台だったと発表した。多くの問題を抱えるPC業界にとって、(ここ数年で最悪だった)第4四半期に年末商戦の販売効果をさほど得られなかったことを考えると、事態の深刻度が増すことになる。総出荷台数は、前回の景気後退期だった2001年第2四半期以来、初の減少となった。
「(第4)四半期についてはおよそ6.5%の成長を見込んでいた。基本的にゼロ成長になったということで、市場がどれだけ急速に悪化しているかが示されたことになる。第3四半期は14%増だったのだ」と語るのは、IDCのPCマーケットアナリストのLoren Loverde氏である。
2008年第3四半期末には、IDCはまだ、2009年の大半の四半期で若干の(3%未満の)成長を見込んでいたが、その後、極めて多くの要因が変化したとLoverde氏は言う。
「基本的に、GDP予測は低めに設定していた。米国政府の救済金がどのように使われるかという疑問がある。経済状況悪化の動きは今後も続くはずだ。したがって、2009年は予想を下回るとしておくのが妥当である」(Loverde氏)
世界市場のリーダーであるHewlett-Packard(HP)の出荷台数は辛うじて3.1%増となったが、第2位のDellは6.3%減だった。Lenovoも世界全体での出荷台数が約5%減少した。
そうした景気後退の中にもいくつか明るい点がある。Acer、Apple、東芝は、ノートPCへの大規模な投資を行い、そのため長期低落傾向にあるデスクトップ市場の影響は比較的少なく、大幅な伸び率を記録した。
Acerは欧州における勢いを持続する一方で、第4四半期に米国で大きく伸び、小売りでの存在感を増した。「Acerは低価格ノートPCに重点を置いており、Best Buy経由で大量に出荷している」とLoverde氏は述べている。
特にAcerは、市場リーダーであるHPに比べると、信じられないほど思い切った価格を設定した「Aspire one」ネットブックで成功を収めた。
Appleの場合は逆の理由で成功した。999ドル以下のコンピュータの販売を拒みながらも7.5%の成長率を達成したのである。米国でのAppleの市場シェアは再び増加して7.2%に達した。これは少なくとも過去10年で最高の数値である。
ネットブックという新たなカテゴリは今後も拡大して行くものと思われるが、それが業界の成長にとって大きな助けになるかどうかは、これまでのところ証明されていない。2008年第4四半期には約500万台のネットブックが出荷され、そのため2008年の年間出荷台数は2倍になった。ノートPC市場におけるネットブックの割合は7%に達し、ほんの1年ほど前には存在さえしていなかったカテゴリとしては素晴らしいスタートだった。IDCでは、2009年にネットブックの出荷台数は2倍になると予測している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ