#2: トラブルが起きないことを前提としない(「未知だということも分かっていない未知のこと」に備える)
あなたは見積もりに必要な情報しか持っていない。プロジェクトの費用見積もりでは、物質的なことだけでなく時間についても見積もる必要があるため、思わぬ障害や範囲の変更、互換性やその他の問題に備えて時間を割り振っておくことは重要だ。
すべてのプロジェクトで使える簡単な標準や計算方法は存在しないので、まずはプロジェクトを完了するのに最低限必要な時間を計算する。それから、過去の経験や、同様のプロジェクトを行った際に学んだ実際の教訓から、どの手順や段階で、どんなトラブルが生じる可能性があるか、またそれを解決するにはどのくらい時間が必要かを考えていく。
私は、ハードウェアベンダーが出荷日に遅れた事例や、運送会社が荷物を紛失した事例を見たことがあるし、開発者や管理者が病気になった事例、自動的に統合できるはずのプラットフォームがそれに失敗した事例なども見たことがある。
不可避な問題に対応するのに必要な時間を、最初のプロジェクト計画書や提案書、予算書などに必ず盛り込んでおくこと。「未知だということも分かっていない未知のこと」すべてに対処することは不可能だが、少なくとも不測の事態に対して責任を持って計画を立てることはできる。
#3: 見積もりに含まれている事項を明記する(すべて文書化しておく)
誤解は簡単に起きる。顧客はあなたが新しいカスタマイズされたデータベースを設置するためのプロジェクト見積もりには、時間と機器、ソフトウェアが含まれていると言うのを聞いているかも知れない。しかし、顧客が、バックエンドのSQL Serverの要件と、クライアント側のMicrosoft Accessの要件の違いを分かっていない可能性もある。顧客がMicrosoft Office Small Business Editionのボリュームライセンスに、25台分のMicrosoft Accessのライセンスも含まれていると勘違いしていたことを、設置の段階になって知るのは最悪だ。
プロジェクトの見積もりと提案書には、どの項目が含まれているかを正確に記述すること。プロジェクトの完了に必要となる可能性のある、追加の作業、機器、ソフトウェアは、プロジェクトの見積もりには含まれていないことを、契約書やプロジェクト合意書で明文化しておく。例えば、専用データベースのプロジェクトならば、新しいサーバの見積もりに含まれている費用には、特定のCPU、RAM、ディスク構成、OS、CALライセンスアカウントおよびその他のソフトウェアで構成されているサーバ1台しか含まれていないことを明記しておく。こうしておけば、顧客がMicrosoft Accessのライセンスを所有していないことが判明して意見の食い違いが生じても、あなたは守られる(ただし、前項で説明した宿題をきちんとこなしていれば、この「未知であることが分かっている未知のこと」は避けられたはずだ)。
見積もりを恐れない
情報過多による麻痺は、政治家や他の業界のリーダーだけでなく、ITマネージャにも起き得る。
事前にできる準備作業には限りがある。効率的にプロジェクトを進めるためには、素早くスタートさせる必要がある。問題を恐れて見積もりに時間をかけすぎないよう注意しなくてはならない。最善を尽くし、自分のスキルと経験を信じて、仕事を始めることだ。
きちんと宿題をこなして、依存関係を注意深くチェックし、思いがけない問題に対する時間の余裕を持たせ、プロジェクトの詳細について文書化しておけば、「未知だということも分かっていない未知のこと」が生じても、ずっと楽に対応できるはずだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ