FBIのスパイウェア、ネットの匿名化サービスを使う犯人の逮捕に貢献

文:Declan McCullagh(CNET News.com) 翻訳校正:矢倉美登里、高森郁哉

2009-04-20 12:53

UPDATE CNET Newsが入手した文書によると、米連邦捜査局(FBI)はこれまでに、脅迫者、データベースを削除するハッカー、幼児に性的いたずらをする変質者、殺し屋などを逮捕することを意図した一連の捜査で、秘密のスパイウェアを使用してきたという。

 第1の容疑者は、MicrosoftのHotmailサービスを使って政府の秘密捜査員にメールを送り、爆弾や炭疽菌を送ると脅迫した。第2の容疑者は、ケーブルを切断するのをやめてほしければ月1万ドルを払えと要求した。第3の容疑者は欧州の殺し屋とされる人物で、Hushmail.comのアカウントから仕事の依頼を募っていたという。

 CNET Newsは2009年4月第3週、情報自由法(FOIA:Freedom of Information Act)に基づいてFBIに情報開示を求め、この文書を入手した。文書は数百ページに達するが、ほぼすべてのページが大幅に編集されていた。

 「Computer and Internet Protocol Address Verifier」(CIPAV)と呼ばれるFBIのスパイウェアは、2007年7月に法廷の文書を通じてその存在を知られるようになった。この文書には、ワシントン州オリンピア近郊の高校に爆弾脅迫のメールを送った10代の容疑者を、FBIがCIPAVを使って逮捕した経緯が示されていた。

 2007年6月のメモには、FBIの「配備作戦要員」に対する以下のような指示が書き込まれている。「CIPAVを仕込んで、ワシントン州レイシーの高校に爆弾脅迫を行った容疑者の地理的な位置を突き止めよ。CIPAVは、捜査対象者が使用しているMySpace.comのプライベートチャットルームに掲載されたURLアドレスを通じて仕込むように」

 FBI特別捜査官のNorman Sanders氏が当時作成した宣誓供述書によると、CIPAVは、標的となるコンピュータのIPアドレス、イーサネットMACアドレス、環境変数、直前に訪問したウェブサイトのほか、コンピュータの登録済み所有者の名前やOSのシリアルナンバーといったレジストリ情報を含む、「ネットワークレベルのメッセージ」を送信できるという。

 FOIAで開示された文書は、容疑者が匿名化サービスを使ってコンピュータのIPアドレスを隠し、警察や犯罪の被害者とメールで連絡を取っているときに、FBIがCIPAVを使用することを示している。匿名化サービスが使用されていないケースなら、通常はメールサービスのプロバイダーに対する召喚状で十分だろう。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

自社にとって最大のセキュリティ脅威は何ですか

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]