富士通は8月26日、紙に印刷する際の情報漏えいの防止とコストダウンを実現する「認証印刷ソリューション」を発表した。同日より提供開始する。認証印刷ソリューションは、富士通が2008年5月より提供しているセキュリティ関連ソリューション「SafetyValue」の新たなラインナップとなる。
富士通 サービスビジネス本部 安心安全ビジネス推進室 室長の太田大州氏は、認証印刷ソリューションを提供する背景のひとつとして、情報漏えい対策の導入が進んでいるにもかかわらず、事故が減っていないことを挙げる。同氏は、日本ネットワークセキュリティ協会の調査報告から「2008年は情報漏えい事故が1373件と過去最高になっている。不正に情報を持ち出すといった内部犯罪は減少しているものの、うっかりミスや誤操作など、技術的な対策が取りにくい部分が原因となる漏えいが増加している」と指摘、今後は人に起因する事故への対策が重要だとした。
認証印刷ソリューションは、印刷管理ソフトウェア「Interstage Print Manager」とICカード認証ソフトウェア「EcoGate Print for Print Manager」を組み合わせたソリューション。この2つのソフトを既存の印刷管理サーバにアドオンし、ICカードとカードリーダを用意するだけで、「どのメーカーのプリンタでもすぐに導入できる」と、富士通 ミドルウェア事業本部 データマネジメント・ミドルウェア事業部 主席部長の栗島正博氏は説明する。
同ソリューションでは、ユーザーがプリンタに設置したICカードリーダにカードをかざし、認証後に印刷が開始されるため、印刷物の置き忘れや紛れ込みなどの情報漏えいを防ぐことができる。プリンタメーカーや機種の統一は不要で、ICカードリーダを設置するだけで既存の印刷環境をそのまま活用できるため、低コストでの導入が可能だ。他社からも多機種対応の印刷ソリューションは提供されているというが、富士通の認証印刷ソリューションは他社メーカーのプリンタでも純正プリンタドライバが使えるため、プリンタ独自の機能もそのまま利用できるという。
また、部門や利用者単位で、印刷枚数、カラーおよびモノクロ印刷の比率、両面および片面比率といった統計情報が確認できる。これにより「印刷コストの見える化が可能になり、印刷量を削減できる」と栗島氏。富士通では、印刷コストの約20〜30%程度は削減できると試算している。
富士通は、同ソリューションを今後3年間で3000社に導入したい考えだ。