ウェブOSはITとビジネスをどう変えてきたか--2009年の5つのトレンドとともに考察

文:Dion Hinchcliffe 翻訳校正:石橋啓一郎

2009-10-01 08:00

 最近、世界中のIT部門の現場では、ある認識が広がっている。その認識とは、クラウドコンピューティングやクラウドソーシングといった次のアウトソーシングの波は、IT部門と事業部門のこれまで関係を永遠に変えるという対応を必要としたり、最終的には彼らIT部門を、単にシステムを動かし続ける運用だけを行う存在に追いやってしまう存在ではないかということだ。

 その原因は、すべての企業を取り巻くグローバルネットワーク、つまりウェブの影響力が大きくなってきていることのようだ。私がこのブログで2006年から書いている記事を読んでいる読者なら、今何が起きているかはおおまかには把握しているだろう。現在の高度に進化したウェブは、コンテンツ流通の面でもコミュニケーションの面でも、原型の状態から見ればはるかに進んでいる。ウェブはメディア(テレビ、映画、音楽、新聞、ゲームなどのメディアはウェブから強い妨害を受けており、現在ではその多くがウェブ上で展開されている)の本格的なプラットフォームになっていると同時に、より戦略的に追い求めるべきものとなっている。おそらく、あらゆる形態のサービスの中でもっとも目立った分野は、コンピューティングの分野だろう。これには、計算能力やストレージを提供するような低レベルのサービスから、ソーシャルコンピューティング、セマンティクスコンピューティング、集合知など、さまざまなものがある。

 しかし、ウェブOSの到来は、ITの話だけでは終わらない。これは、(実際ほとんどは)ビジネスの話でもある。21世紀の「大きな変化」を追いかけようとしている人たち、例えばJohn Hagel氏のような思想家たちは、世界で起こっている変化を捉えようと試みている。Hagel氏は最近、「われわれは比較的安定したビジネス環境から、速い変化を特徴とし、より高い不確定性と予測不可能性を生み出す混乱を伴う環境へと移行しつつある」と述べている。従って、組織が今後養うべきコアスキルは、日常的に不安定性や速い変化を脅威(多くの企業にとっては未だ脅威のはずだ)からチャンスへと変える能力だ。

 このような、現代の普遍的で瞬間的な、世界規模での知識の流れによって引き起こされている変化の速度は、ウェブと、ウェブによって可能になっている、世界人口の3分の1近くを包含する(ほぼすべての先進国を含んでいる)何十億もの双方向の接触点の影響によるものだ。ウェブは、市場におけるリアルタイムの行動/反応シナリオの元になる超高速のフィードバックループの基盤になっていることに加え、インターフェースが作れるあらゆるものについての、おそろしく効率的で、安価で、使いやすいサービス提供システムとなっている。

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