ウェブOSはITとビジネスをどう変えてきたか--2009年の5つのトレンドとともに考察 - (page 2)

文:Dion Hinchcliffe 翻訳校正:石橋啓一郎

2009-10-01 08:00

 このことは、オンデマンド資源(計算資源、データ、あるいは人間やアイデアまで)を、深く素早く、事実上リアルタイムで利用することによって、何かを変えたり順応させたりする能力の観点から見れば、新たな形の力を作り出している。最近掲載されたWall Street Journalの記事では、最新技術、特にウェブのおかげで、企業は「過去には何ヶ月、何百万ドルを費やしてお膳立てして立ち上げていた活動を、何秒、何セントというコストで開始できることも多い」と書かれている。明らかにこれは「素晴らしい新世界」だ。現在はまだ、ビジネスの中心ではなく周辺で起こっているに過ぎないとしてもだ。

ウェブOSの全体像
WOA = ウェブ指向アーキテクチャ、CC/SRR = クリエイティブ・コモンズ/Some Rights Reserved、AOP = 参加のアーキテクチャ(Architecture of Participation)

 この世界は、現実的には欠乏が起こらない世界であり、豊富さに事実上無料でアクセスできる世界だ。また、ウェブOSのビジネスモデルはまだ揺籃期にあるということも事実だ。ウェブOSを消費したり参加したりする人が、その活動を収益化する方法は一般的になっているが、彼らが現代版の小作農になってしまうのではないかという、現実の懸念もある。従来の経営手法によるアプローチでは、これらの問題のニュアンスを理解できない場合が多く、この最新の経済的な状況を活用できるように設計されてもいない。従来型のアプローチを取る企業が、現在増えつつある新しい状況を活用できる企業よりも競争力が低いという問題については、いずれ追求してみたいと考えている。これは、ウェブOSが現代のビジネス慣行の真剣な再評価を迫っているという問題であると同時に、チャンスをどのように定義し、発見し、狙うかという問題でもある。

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