パワーもスタミナも譲れないビジネスモバイルシーン
これまでのビジネスモバイルは、軽量、長時間駆動を優先する一方で、オフィス内で利用するデスクトップPCや、A4サイズのノートPCで行うようなパワーを要求する仕事は苦手としてきた。例えば、プレゼンテーションのためのPowerPointファイルの大幅修正などは、モバイル環境では難しく、ユーザーはあきらめざるを得ないのが実態だった。
だが、昨今ではPowerPointに多数の画像を添付したり、動画や音声を利用するものも増えてきた。プレゼンテーションは先方に出向いて行うことが多いため、移動途中や現場で修正をしたいという場合も多く、それに合わせてビジネスモバイルPCにも高速処理性能が求められてきたというわけだ。
また、無線LANスポットや3Gネットワークの広がり、WiMAXサービスの開始などにあわせて、モバイルブロードバンド環境が浸透。ネットワークに接続して仕事を行うという例が増えてきた。
主要ブラウザではタブブラウジングが標準機能となっていることもあり、複数のサイトに接続したままで利用するという使い方が広がっている。リッチコンテンツを利用しているサイトも増加しており、やはりここでもマシンの高性能化が求められる。高性能は、まさに第3世代では必須とされる要件となっており、ここに仕事のプロフェッショナルが求めるモバイルPCの姿がある。
実際、Let'snote N8/S8では、クロック周波数2.53GHzおよび2.66GHzの標準電圧版のCPUを採用。B5サイズのノートPCでは不可能とされていた高性能化を実現した。
高性能化の裏返しとして課題となるのは、バッテリ駆動時間である。高性能化すれば、その分、消費電力は増加するが、いくら性能が良くても、使いたいときに使えないのでは意味がない。
パナソニックが目指したのは、1日8時間使用を前提とした際に、2倍となる16時間。国内のPCメーカーは、JEITA基準による測定を共通的に使用しているが、このデータは動作状態があまり活発ではない環境での計測となる。ネットに接続し、アプリケーションを動作させてということになると、測定値の半分程度というのが業界に共通した見方だ。
つまり、パナソニックが、JEITA基準で16時間としたのは、実使用環境においても8時間という駆動時間を狙ったものなのだ。パナソニックでは、これを実現するために部品ひとつひとつの見直しに着手。回路設計などの発想そのものを大きく変えることで、16時間という連続駆動時間を実現してみせた。
経済環境の低迷によって、低価格で導入できるネットブックを採用しようとする企業も増えてきている。だが、ネットブックは、1台ですべての業務をカバーすることはできず、サブマシンとしての使い方に留まる。また、ビジネスモバイルシーンにおいて、ネットブックで高い生産性を維持できるとは言い難い。
確かにネットブックの進化は著しい。高性能化、大容量化、長時間駆動という点でも進化を遂げている。だが、今回の新Let'snoteは、ビジネスモバイル利用に適したノートPCという点で、ネットブックとの差を改めて広げてみせたといえそうだ。