IDC Japanは2月24日、国内ITサービス市場予測を発表した。今回の発表はIDCが発行したレポート「国内ITサービス市場 産業分野別 2009年の推定と2010年〜2014年の予測」に基づくもので、国内ITサービス市場を12の市場セグメント、および18の顧客産業分野に分類し、2009年の実績値を推定したうえで2014年までの予測を行ったとしている。
同社によれば、2009年の国内ITサービス市場規模は、景気後退の影響を受け前年比3.8%減の5兆257億円にとどまったと推定している。景気後退の影響は2010年に入っても残り、同市場は前年比1.0%減の4兆9777億円と、2年連続のマイナス成長になる見込みという。2011年にはプラス成長となるものの、本格的な再成長は2012年以降となる見通しで、2014年の国内ITサービス市場規模は5兆4974億円、2009年から2014年までの年間平均成長率は1.8%になるものと予測している。
国内ITサービス市場は、2009年に景気の大幅な悪化の影響を受け、システムインテグレーション(SI)など構築案件の中止、延期が相次いだ結果、マイナス成長となった。IDC Japanによれば、現在国内経済は、新興国を中心とした外需の持ち直しなどによりグローバル製造業の業績が好転するなど、徐々に明るさを取り戻しているという。しかし、新たな成長に向けた力強さを取り戻すには至っておらず、景気回復が軌道に乗るまでには、今後もしばらく時間がかかりそうだとしている。
IDC Japanは、国内ITサービス支出についても、2010年は2009年に引き続き厳しい状況におかれることが予測されるとする。企業は、新規構築を中心に慎重姿勢を崩しておらず、構築だけでなく、運用アウトソーシングにおいてもサービス価格の下落がみられ、成長は鈍化傾向にあるとしている。
同社、ITサービス グループマネージャーの寄藤幸治氏は、「ITサービスベンダーは、景気低迷下で変化したユーザー企業のローコストサービスのニーズに応えつつ、新たな投資機会の開拓を、ユーザー企業と共に行っていく必要がある」とコメントしている。